鳴らしている弦の振動で、他の弦までが震え出し、それが知らぬ間に鳴ってしまう、という現象を弦の共鳴と言います。この弦の共鳴や、鳴らす意図がない弦を、事前に防ぐ事をミュートと言い、地味なテクニックですが、音楽ジャンルによっては、とても重要なスキルです。

親指ミュート(指弾き)

親指がピックアップの上
親指がピックアップの上の画像

指弾きの時の親指

親指をピックアップの上に乗せ、軽く固定させてやると、指弾きも安定したものになり、多くのベーシストが、そのようにしているでしょう。常にこのままでも良いのですが、冒頭で説明したミュートの事を考えると、親指を次のように、移動させていく必要があります。

親指が4弦の上
親指が4弦の上の画像

2弦を弾く時の親指

2弦を弾く場合は、親指を4弦の上に移動させてやると、4弦のミュートになります。3弦はアポヤンドによる指が触れ、1弦は押弦の手を触れさせます。

親指が3弦の上
親指が3弦の上の画像

1弦を弾く時の親指

1弦を弾く場合は、親指を3弦の上に移動させますが、その時に親指の裏側を、4弦にも触れさせてやり、3弦と4弦を同時にミュートする、という状態を作ります。

親指ミュートの練習
親指ミュートの練習4小節

黄色の弦を親指ミュート

親指ミュートの練習をしてみましょう。画像でも説明した要領で、黄色い弦に親指を触れさせて、ミュートさせます。簡単なフレーズですが、親指を移動させて弾くのは、かなり難しいはずです。先ずは無理のないテンポで、ゆっくりと弾いていってください。

  • 14小節目

    親指はピックアップの上で構いません。3弦を弾く時の4弦には、アポヤンドによる指が当たるので、それがミュートになります。3弦を弾く時に、親指を4弦の上に移動させても良いです。

  • 23小節目

    2弦を弾く時は4弦の上に、1弦の弾く時は3弦の上に、親指を移動させてやります。そして1弦を弾く時は、4弦にも親指の裏側を触れさせ、親指ミュートを作ります。

弦の共鳴はジワジワ

弦の共鳴に関して言えば、直ぐに起こるものではなく、ジワジワとやってくるものです。なので、親指ミュートも慌てる必要はなく、余裕を持って行えば、十分に間に合います。

チョップミュート(ピック弾き)

チョップミュート
チョップミュートの画像

チョップミュートとは?

画像は全ての弦を、チョップミュートしている状態です。このようなフィンガリングで、ピック弾きをするわけですが、もちろん鳴らしたい弦まで、チョップミュートしてしまうと、まともな音は出ません。チョップミュートの基本は次の通りです。

  • 4弦を弾く時はチョップミュートなし。
  • 3弦を弾く時は4弦をチョップミュート。
  • 2弦を弾く時は43弦をチョップミュート。
  • 1弦を弾く時は432弦をチョップミュート。

押弦する手でもミュート

例えば3弦を弾く時は、4弦をチョップミュートさせますが、12弦は押弦する方の指を、寝かせるようにしてミュートします。これは指弾きでも同じで、ミュートは両手でフィンガリングしていきます。

チョップミュートの練習
チョップミュートの練習4小節

黄色の弦をチョップミュート

チョップミュートの練習をしていきましょう。黄色い弦をチョップミュートさせますが、ミュートさせながらも、ピック弾きをするという、ポイントを見つけるのが難しいです。やはり無理のないテンポから始め、ゆっくりと練習していってください。

  • 1小節目

    3弦3フレットから、4弦をチョップミュートです。4弦をチョップミュートしながらも、3弦を弾く自分なりの、ポイントを見つけてください。

  • 2小節目

    2弦3フレットからは、43弦をチョップミュート、1弦4フレットからは、432弦をチョップミュートです。かなり繊細なフィンガリングが必要です。

  • 3小節目

    2弦5フレットを弾く直前で、2弦のチョップミュートを、解いてやりましょう。チョップミュートをするのと同じく、チョップミュートを解くのも、難しいはずです。

  • 4小節目

    3弦5フレットを弾く直前で、3弦のチョップミュートを解き、4弦5フレットからは、チョップミュートなしになります。

チョップミュートの場所

ベーシストによりチョップミュートは、手首から手の平にかけて等、その場所は色々と変わります。また、ピックの形状や弦に当てる角度によっても、チョップミュートの場所は変わるでしょう。

親指とチョップのミュート練習

大きな譜面を開く
親指ミュートの練習譜面
親指ミュートの練習譜面8小節

親指ミュートを続けた方が良い

3小節目の※は4弦を、親指ミュートさせる必要はありませんが、その直ぐ後に親指ミュートが必要です。4小節目の※も同様に、こういった場合は、親指ミュートを続けたまま、弾いた方が良いでしょう。

大きな譜面を開く
チョップミュートの練習譜面
チョップミュートの練習譜面8小節

チョップミュートは自分で判断する

この譜面の通りだと、※ではチョップミュートをしますが、直後にチョップミュートは必要なくなります。このような場合は、チョップミュートをするかしないか、自分で判断してやりましょう。

ミュートはベーシスト次第

ミュートのフィンガリングは難しくもあり、聞いている人には、何一つ伝わらないテクニックです。また、ミュートを全く気にかけないベーシストもおり、それはそれで良いとも思います。

記事終了
このページのまとめ
  • 指弾きは親指でミュートを作る。
  • ピック弾きはチョップでミュートを作る。
  • ミュートに焦る必要は全くない。