音符には強く感じる拍の強拍(きょうはく)と、弱く感じる弱拍(じゃくはく)があります。それら強拍と弱拍がタイ記号によって入れ替わることがあり、それをシンコペーションと言います。言葉だけで聞くと難しいですが、簡単に考えればタイ記号を読んで弾く練習だと思ってください。
強拍と中強拍と弱拍の順番
音楽記号のアクセントは強く弾くという意味です。小節の中ではアクセントをつける位置に、ある程度の決まりがあります。4分の4拍子でアクセントの、基本的な位置を見ていきましょう。
強拍が最も強いアクセント
小節内に4分音符が4拍並んだ時に、1拍目を強拍と言い、最も強いアクセントを持ちます。3拍目もアクセント記号の>がありますが、1拍目よりは少し弱い中強拍(ちゅうきょうはく)になります。2・4拍目を弱拍と言い、最も弱くなる拍です。
中強拍について
3拍目の中強拍ですが、音楽理論書で強拍として説明していることもあります。ややこしく感じられたら、3拍目も強拍と考えて良いでしょう。
ポピュラー音楽の強拍と弱拍
この強拍と弱拍の位置ですが、これはクラシック音楽で基本になっていることです。ポピュラー音楽の場合だと、ドラムを例に挙げれば、バックビートと言われる2・4拍目にスネアを叩き、アクセントをつけるのが定番です。ベースやギターはどうかというと、1拍目にアクセントをつけることが多いと思いますが、クラシック音楽のような強拍と弱拍の順に、明確な決まりはないと思います。
シンコペーション(タイ記号)と表拍・裏拍
シンコペーション
先ほどの4分音符だけの2小節に、小節をまたぐようにして、タイ記号を加えてみます。1小節目の4拍目は弱拍でしたが、タイ記号により2小節目の1拍目の強拍が、1小節目の4拍目に入れ替わるという現象が起こります。これがシンコペーションです。
シンコペーションの原因
シンコペーションを起こすのは、見た目がタイ記号だけに限りません。しかし、最も分かり易いのはタイ記号によるシンコペーションなので、先ずはこれを基本に覚えておきましょう。
表拍と裏拍
上記のように8分音符が並ぶと、小節の頭から順に表拍(オモテはく)と裏拍(ウラはく)と表現されることがあり、表拍が強拍でアクセントを持ち、裏拍が弱拍となります。これも細かく分けると中強拍が入ってきますが、分かり易くする為に強拍と弱拍で考えていきましょう。右の小節を見るとタイ記号があり、これにより弱拍の位置に強拍がずれて、シンコペーションが起こっているのが分かります。
裏拍にもアクセント
表拍が強拍になりアクセントをつけるのも、クラシック音楽で基本にしていることです。ディスコやダンスというジャンルでは、ドラマーがハイハットで裏拍にアクセントをつけるのが基本ですし、スカでは主にギタリストが裏拍でリズムを刻みますし、ジャズなら全体的に裏拍がアクセントになります。ポピュラー音楽の場合、強拍と弱拍の位置が、楽器やジャンルによって様々だと思われます。
強拍と弱拍の音量
アクセントは強く弾くという意味なので、強拍を強く弾くというのは間違ったことではありません。しかし、弱拍との違いを極端に音量で表さなくてもいいでしょう。むしろ初心者のうちは、8分音符だけが暫く続くとする場合などは、音量を全て均等に揃えて弾けることが重要だと思います。それが出来ないと、意図とする音にアクセントをつける、ということも出来ないはずです。
シンコペーション(タイ記号)の練習
強拍と弱拍の説明がややこしかったですが、簡単に考えると、シンコペーションの基本はタイ記号によって起こります。なので、先ずはタイ記号のリズムを読む練習から始めていきましょう。
大きな譜面を開くタイ記号を外して聴く
タイ記号は複雑なリズムを作り出すので、慣れるまでが大変です。タイ記号のリズムを把握する方法の1つに、タイ記号を外して聴いてみるというのがあります。この譜面も1・2小節目、3・4小節目、5・6小節目、7・8小節目が、タイ記号の有無で構成しているので比較してみましょう。
大きな譜面を開く小節をまたぐタイ記号
今度はシンコペーションを多様した複雑なベースラインです。特に小節をまたぐタイ記号では、リズムを見失いことが多いです。こういった複雑なリズムは、音源のベースラインを声に出して歌ってやるのも、良い練習になるので試してみてください。
- 音の並び方には強拍・中強拍・弱拍が存在する。
- シンコペーションの基本はタイ記号によって起こる。
- ポピュラー音楽では裏拍にもアクセントが来る。