特にジャズで使われる音楽用語に、裏コードというものがあります。ドミナントセブンスコードはトニックコードに、ドミナントモーションを起こす効果がありますが、裏コードにも同じ効果があります。先ずはCメジャーキーで裏コードを見ていきましょう。
裏コードとは?
G7の裏コードがD♭7
①のG7はトニックコードのCM7に対して、ドミナントモーションを起こしています。②はG7がD♭7になっていますが、これでもCM7に対しドミナントモーションを起こせます。このD♭7ですがG7の裏コード、という言い方をします。
ドミナントモーションとは?
ドミナントモーションは連結力の高いコード進行のことです。詳しくは別カテゴリの、ドミナントモーションで解決するを御覧ください。
代理ドミナント
CメジャーキーにおけるG7の裏コードはD♭7ですが、G♭メジャーキーにあるので借用和音という事になります。しかし、裏コードがどのキーにあるのかを、いちいち把握する必要はありません。また、このD♭7はG7の代理ドミナントという言い方もされます。
ジャズでは裏コード
表からも分かるようにG7の代理ドミナントなら、同じダイアトニックコード内にあるBm7(♭5)もありますが、ジャズでは裏コードであるD♭7を、代理ドミナントとして使う場合が多いです。
裏コードの探し方
4度圏表で探す裏コード
Cをトニックコードとする場合、そこから左隣のGがドミナントセブンスコードで、更に対角線のD♭が裏コードです。E♭をトニックコードとする場合も、左隣のB♭ドミナントセブンスコードで、対角線のF♭が裏コードです。これが4度圏表を利用した裏コードの探し方です。
裏コードは四和音
正確な裏コードは四和音のD♭7やF♭7の、ドミナントセブンスコードにした形です。
ベース指板で探す裏コード
ベース指板でも裏コードを探す事が可能で、先程と同じキーを例に挙げています。両方ともトニックコードの半音上のフレットが裏コードに当たり、これはどのキーでも同じ事が言えます。ベーシストは4度圏表より、ベース指板で裏コードを探す方が簡単かと思います。
裏コードの音名
Cがトニックコードなら半音上が裏コードですが、C#ではなくD♭が裏コードの正確な音名になります。つまりは裏コードの音名は、トニックコードの音名と一緒にならないという事です。
裏コードでアレンジ
裏コードで変化が付く
上記はバグス・グルーヴの9~12小節目です。①のように9小節目からはツーファイブが始まりますが、10小節目のファイブに当たるC7を、裏コードのG♭7にしてやったのが②です。これで9小節目からはツー・ウラ・ワンとなり、ウォーキングベースにも変化が付けられます。
ツーファイブを作り裏コード
今度はバグス・グルーヴの1~8小節目です。5小節目のB♭7を仮のトニックコードとして、4小節目にツーファイブを作ったのが④です。更にファイブに当たるF7を、裏コードのC♭7にしたのが⑤です。このように、ツーファイブ作成後も裏コードにするパターンがあります。
マイナーキーも裏コード
上記は枯葉の1~8小節目のコード進行です。⑥のように5~7小節目はツーファイブですが、ファイブのD7を裏コードのA♭7にしたのが⑦です。マイナーキーでも裏コードに変わりはありません。
ツーファイブを作り裏コード
同じく枯葉の1~8小節目です。1小節目のCm7を仮のトニックコードと考え、Gm7だった8小節目をツーファイブにしてあるのが⑧です。そして、ファイブに当たるG7を裏コードのD♭7にしたのが⑨です。
裏コードは半音階
メジャーキーやマイナーキーに関わらず、ツー・ファイブ・ワンをツー・ウラ・ワンにした時のルートは半音階で下行します。これによりウォーキングベースも、ある程度パターン化できるかと思います。
裏コードの使い所
テーマのベースラインで裏コードを使っても間違いではないですが、裏コードが活躍するのは多くの場合、ウォーキングベースを弾いている時でしょう。
- 裏コードはドミナントセブンスコードの代理ドミナント。
- 裏コードはトニックコードの半音上に位置する。
- ツーファイブに裏コードを当てるとルートが半音階する。