過去のページで説明したメジャーセブンスを、半音低くしたのがドミナントセブンスです。メジャーセブンスは長7度(ちょうしちど)だと言いましたが、ドミナントセブンスは短7度(たんしちど)と言います。このページでも、指板図を利用して短7度のフレットが、どの位置に来るのかを見ていきましょう。
マイナーセブンスコード

マイナーセブンスコードは四和音
6・7小節目に見られるように、ルートの隣に「m7」と記されれば、マイナーセブンスコードです。マイナーセブンスコードは、ルートのと、短3度の
と、完全5度の
と、短7度の
の、四和音で作られるコードです。
短7度はドミナントセブンス
短7度を英語式にするとマイナーセブンス、と思ってしまいそうですが、正しくはドミナントセブンスと言います。後からも説明していますが、短7度をマイナーセブンスと読んでしまうと、コードの呼び方に複雑を感じてしまうからです。先ずは「Am7」と「Dm7」で、使用するフレットを見てみましょう。

短7度はフレット10個分
コード「Am7」と「Dm7」は、開放弦と5フレット目を、同じ高さのに出来ます。その
と他の音を、同弦上に置いたのが上記の指板図です。開放弦からでも5フレット目からでも、
から
までなら、フレット10個分だというのが分かります。押さえ易い運指に直してみます。

ルートで違うポジション
開放弦をにした場合、コード「Am7」は運指も楽になりますが、コード「Dm7」は
の弦が足りないため、
と同弦上のフレットに位置されます。5フレット目を
にすると、どちらも同じようなポジションになり、分かり易いマイナーセブンスコードになるかと思います。これらのポジションで、運指の練習をしてみましょう。

開放弦ルートの運指
どちらのコードも開放弦をにした運指です。2小節目の1弦2フレットは、中指で押弦しても良いですが、指示のようにセーハでも押弦できるよう、練習しておくと良いでしょう。3小節目からは矢印のポイントで、ポジション移動をする運指です。先ずは無理のないテンポで、運指をしていきましょう。

5フレット目ルートの運指
先ほどと同じフレーズですが、今度はを5フレット目にしてあり、それに合わせた運指をとっています。ポジション移動を必要とせず、指板的にも分かり易いですが、7フレット目の薬指と、8フレット目の小指を、潜らせるような運指をしているので、器用な運指を必要とします。

開放弦が連続するTAB譜面
2・3小節目にかけて、開放弦の音が3回続いています。これを普通に弾くと、開放弦の音が重なってしまいます。先ず3弦0フレットを弾いた後、4弦0フレットを弾きますが、それと同時に3弦0フレットの音を止めるため、押弦する指の方を3弦に触れさせます。次は2弦0フレットを弾くと同時に、指弾きなら親指を4弦の上に、ピック弾きなら手の平を4弦に触れさせ、4弦0フレットの音を止めてやります。これもミュートと言われる運指テクニックの1つで、地味ながら重要なテクニックです。

開放弦の連続をなくしたTAB譜面
開放弦の音を止めるのは、地味に難しい運指です。そこで開放弦の代わりに、5フレット目を弾いてやり、開放弦の連続をなくしてやったのが、上記のTAB譜面です。押弦に使う指は増えますが、こちらの方が楽な運指、だと思う人もいるでしょう。全ての開放弦を5フレット目に変更する必要もなく、自分の運指がし易いような、TAB譜面にしてやると良いでしょう。

ドミナントは省略する
三和音「Am」の呼び方は、と
で「エー・マイナー」です。四和音「Am7」になると、そこに
が加わり「エー・マイナー・セブンス」ですが、この
を正確には、ドミナントセブンスと言うので「エー・マイナー・ドミナントセブンス」とするのが、正しいのかと思います。しかし、ドミナントは省略され「エー・マイナー・セブンス」と呼ぶのが一般的です。
短7度をマイナーセブンスにしてみると
短7度はドミナントセブンスと言う、と説明しました。仮に短7度を、マイナーセブンスと言うことにしてみます。その場合、次のコードは
- Am7(エー・マイナー・マイナーセブンス)
- A7(エー・マイナーセブンス)
となってしまいます。Am7(エー・マイナー・マイナーセブンス)は、前者のマイナーがで、後者のマイナーが
のこと、という解釈も出来ますが、マイナーが重なって複雑です。A7(エー・マイナーセブンス)と呼んでしまうと、これは別のコードになってしまいます。話をややこしくしてしまいましたが、短7度はドミナントセブンスで、コードを呼ぶ時のドミナントは省略する、と覚えておけばOKでしょう。
ドミナントセブンスコード
ここまでで説明してきたのは、三和音のマイナーコードに、短7度のドミナントセブンスを加えたコードでした。ここから先は、三和音のメジャーコードに、短7度のドミナントセブンスを加えたドミナントセブンスコードを見ていきましょう。

ドミナントセブンスコードも四和音
8小節目に見られるように、ルートの隣に「7」とあれば、ドミナントセブンスコードです。ドミナントセブンスコードは、ルートのと、長3度の
と、完全5度の
と、短7度の
の、四和音構成です。
ドミナントの省略
短7度はドミナントセブンスで、8小節目「G7」なら「ジー・ドミナント・セブンス」と言いますが、このドミナントも省略されて呼ばれるので、多くの場合は「ジー・セブンス」と言います。しかし、ここから先は省略せず表記していきます。先ずは4小節目の三和音「G」のポジションを、指板で確認していきましょう。

三和音「G」のポジション
4弦だけで見る「G」は、から
と
が、フレット4個分と7個分の距離にあります。これを異弦同音で押さえ易く直したポジションも、上記のリンクから見ておきましょう。このポジションに
を加えてみます。

四和音「G7」のポジション
4弦だけで見る「G7」はから
まで、フレット10個分の距離にあります。異弦同音で直したポジションの
を見ると、
と同じフレットに位置しているのが分かり、これは他のドミナントセブンスコードでも同じです。この「G7」で運指の練習をしてみましょう。

開放弦を使わない「G7」の運指
先ずは2弦5フレットを開放弦にせず、2フレット目から5フレット目は、ポジション移動をしないで、大きく指を広げて運指していきます。3フレット目は中指での押弦が基本ですが、3小節目のようなフレーズは、薬指を使ってやると良いでしょう。

開放弦を使う「G7」の運指
開放弦を使うと、全体的に運指も大きく変わります。3小節目以外の3弦3フレットも、薬指の押弦が楽かと思いますが、手の大きい人は、中指での押弦が楽になってくると思います。薬指と小指を鍛える運指トレーニングとして、あえて人差し指を使わない運指を作ってみましたが、実用的ではないので、余裕があれば練習してみてください。

オクターブ上下を使う「G7」の運指
完全5度のは使っていませんが、その他の音は、オクターブ上下のフレットを使う運指です。2・3・4小節目にかけての矢印で、ポジション移動を行ってやりましょう。運指に慣れてきたら、指示の通りの運指にならなくてもよいので、自分の使い易い運指を優先させてください。

四和音「G7」の呼び方と省略
三和音「G」は、と
から取り「ジー・メジャー」と呼びます。四和音「G7」になると、そこに
が加わり「ジー・ドミナントセブンス」と呼びます。このコードには
も含まれているので、略さずに呼ぶなら「ジー・メジャー・ドミナントセブンス」となりますが、メジャーとドミナントは省略して呼ぶのが普通なので、四和音「G7」は「ジー・セブンス」と呼ばれることが、最も多いでしょう。