ペンタトニックスケールについて、僕が音楽教室で教えている生徒さんや、このサイトを見てくれる人からも時折り同じ質問を貰うので、ここにまとめておきたいと思います。しかしこれは、僕が音楽学校時代に教えてもらった事や、ライブなどの経験を元にしたことなので、絶対的な事ではありません。
ペンタトニックのスケール練習
スケール練習とは?
上記はCメジャーペンタのポジションです。これを覚えるには様々なフレーズを弾きまくり覚える、というのがスケール練習です。過去のページでも説明しましたが、ペンタトニックは5つのポジションを共有する事ができ、それを利用したスケール練習が有名かと思います。
メジャーペンタの共有ポジション
Cメジャーペンタのポジションを、5つに分けたのが上記の①~⑤です。当然、押さえるフレットは違ってきますが、これらのポジションはCメジャーペンタのだけでなく、全てのキーのペンタトニックで利用する事が出来ます。詳しくは、メジャーペンタトニックスケールは五音音階を参照してください。
ペンタトニックのスケール練習ポイント
ペンタトニックのスケール練習としてのポイントですが、このフレーズのように、4弦から弾き始めて1弦へ進行し、1弦からまた4弦へ戻るという事です。また、出来る限り速く弾くというのも大事かと思います。上記は16分音符のフレーズですが、他にも1拍3連符などが多く用いられます。
平行調のペンタトニック
①はAマイナーペンタのポジションですが、先程も見た②のCメジャーペンタと全く同じポジションです。このように、主音が異なる同じ構成音のスケールを、平行調(へいこうちょう)と言います。AマイナーペンタもCメジャーペンタと同じく、ポジション毎に分けてみます。
マイナーペンタの共有ポジション
AマイナーペンタはCメジャーペンタと同じポジションなので、同じように分ける事が出来ます。これら5つのポジションもAマイナーペンタだけのものではなく、他のマイナーペンタでも使う事が出来ます。詳しくは、マイナーペンタトニックスケールと平行調を参照してください。
押さえるフレットは同じ
上記はポジション①~⑤に分けた、Aマイナーペンタのスケール練習です。今度はリズムが1拍3連符になっていますが、押さえるフレットは同じなので、Cメジャーペンタのスケール練習としても使えます。
ペンタトニックのポジションは共通
上記はCメジャーペンタのポジションですが、他のメジャーペンタでも使えます。また、Aマイナーペンタのポジションでもあり、やはり他のマイナーペンタとしても使えます。なので、ペンタトニックスケールの共通ポジションと言えます。
ポジションは①~⑤の順番
ペンタトニックのポジションは、①~⑤の順番を意識して覚えましょう。他のキーのペンタトニックの場合は、CメジャーペンタやAマイナーペンタのように、必ずポジション①から始まるとは限りませんが、順番が崩れる事はありません。
1つのポジションでもOK
全てのポジションを覚えるのは無理だという人は、どれか1つのポジションだけを選んで、ベースラインやソロフレーズを作るのも良いでしょう。自分の都合に合わせて使えれば十分です。
ペンタトニックで作るソロ
コードに合うペンタトニック
上記4小節のコードでペンタトニックを使い、簡単なソロフレーズを作るとします。メジャーコードのCM7でCメジャーペンタ、マイナーコードのAm7でAマイナーペンタが使えるという、コードに合ったペンタトニックを選ぶというのは想像できると思います。
ペンタトニックでまとめる
しかし、CメジャーペンタとAマイナーペンタはポジションが同じなので、この4小節のどちらかのペンタトニックでまとめ、ソロフレーズを考えていく事も出来ます。分かり易いように下記に示すポジション③の、CメジャーペンタとAマイナーペンタでソロフレーズを作る事にしましょう。
弾き始めの音
そこで何の音から弾き始めるかという事ですが、ベーシストはルートから入るという事に慣れているので、ソロフレーズの時もルートから弾き始めると安心するかと思います。それも間違いではありませんが、ソロフレーズの場合はルート音の●を特に意識しなくても良いと思います。
ルートから入らない
簡単なソロっぽいフレーズを作ってみましたが、弾き始めはルート音から入っておらず、これでも問題ありません。ルート音を意識し過ぎるとソロフレーズも窮屈なものになってしまいがちなので、ルート音から入らないというのも頭に入れて置くと良いでしょう。
ソロっぽくするポイント
無茶な言い方をすると、ペンタトニックのポジションさえ弾いていれば、何も考えなくてもソロっぽいフレーズにはなると思います。そして、なるべく速弾きすることもポイントかと思います。
メジャーコード上のマイナーペンタ
ブルーノートを含む
1・2小節目はCM7で、3・4小節目はAM7の両方ともメジャーコードです。メジャーコード上でマイナーペンタを使うなら、①の平行調に当たるマイナーペンタですが、②のルートを同じとするマイナーペンタもよく使われます。しかし、この場合はブルーノートという音を含む事が多いです。
マイナーペンタとブルーノート
①②の左の小節はどちらも純粋なマイナーペンタで、そこにブルーノートを加えたのが右の小節です。新たに加わった音は4番目だけですが、マイナーペンタに元からある2・6番目もブルーノートと言われます。マイナーペンタ+ブルーノートを、指板のポジションでも見てみましょう。
ブルーノートスケール
マイナーペンタ+ブルーノートですが、これはブルーノートスケールとも言われます。ただ、ブルーノートスケールは他にも存在するので、ここではマイナーペンタ+ブルーノートとしておきます。
ブルーノートの特徴
新しく加わったブルーノートだけを、●として指板に表しています。このブルーノートをマイナーペンタに加えるだけで、怪しくもあり哀愁のあるスケールになります。ブルーノートについて理解したら、メジャーコード上で使うマイナーペンタ+ブルーノート、について考えてみましょう。
不協和音が生まれる原因
コードCM7上でCマイナーペンタ+ブルーノートを使うとすると、E・B音とE♭・B♭音がぶつかってしまい、不協和音が生まれるのが普通です。しかし、大きく変にならないのは幾つかの理由が考えられます。
個性の強いスケール
メジャースケールは聴けば直ぐに分かるくらい、強い個性を持ったスケールです。マイナーペンタ+ブルーノートも同じ事が言えるので、メジャーコードを凌駕してしまうという事が考えられます。しかしそれでも、演奏をし続けると音がぶつかり不協和音は生まれます。
音を抜いたボイシング
ボイシングとは音の重ね方や使い方で、簡単には伴奏の事だと思ってください。不協和音が目立ってくると、ベテランのピアニストやギタリストなら、ボイシングに変化をつけてくれたりもします。例えば、CM7ならE・B音を抜き、所謂パワーコードでのボイシングで、不協和音を無くしてくれるわけです。
伴奏とソロの音域を離す
上記はベース指板で表していますが、例えば、ピアノやギターが3弦3フレット周辺で伴奏をしているとします。そこからオクターブほど音域を離した、3弦15フレット周辺でベースソロを作ってやると、これでも不協和音は大きく軽減できたりするでしょう。
他にも考えられる
以上が僕の思っている、メジャーコード上でマイナーペンタ+ブルーノートが使える理由ですが、他にも考えられる理由はあるかと思います。
- ペンタトニックのスケール練習はポジション毎に分けると良い。
- ペンタトニックで作るソロは主音や平行調を気にしないでも良い。
- メジャーコード上でマイナーペンタを使える理由がある。