ペンタトニックスケールはコードの種類によって、幅広く使えたり合わなかったりする場合があります。これはバークリー音楽学校で教えられている音楽理論ですが、日本でも教えている音楽学校があり、やはり僕も音楽学校時代に習い、特にはベースソロで活かしています。コードの種類毎に見ていきましょう。
メジャーセブンスコード
コードの種類 | メジャー・セブンス |
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コードの例 | CM7/C△7/Cmaj7 |
コードの構成音 | C・E・G・B |
ルートの音程 | 根音・長2度 |
メジャーセブンスは根音・長2度
先ずはメジャーセブンスコードで使えるペンタトニックです。表にもあるCM7を例に挙げると、構成音はC・E・G・B音になります。大事なのはルートの音程という項目で、根音と長2度とあります。先ずは根音の方を見ていきましょう。もちろん、根音とルートは同じ意味です。
根音からのメジャーペンタ
①はCM7の構成音C・E・G・B音ですが、根音はC音です。その根音のC音をルートとする、②のCメジャーペンタがCM7で使えるという意味です。そして、Cメジャーペンタと構成音が同じである、③のAマイナーペンタも使える事になります。これは分かり易いかと思います。
長2度からのメジャーペンタ
次は長2度ですが、④のCM7から見ると構成音外のD音です。その長2度のD音をルートとする、⑤のDメジャーペンタもCM7で使えます。そして、Dメジャーペンタと同じ構成音である、⑥のBマイナーペンタも使えるという事です。
Dメジャーペンタの使える理由
DメジャーペンタのE・B音はCM7に、D・A音はCメジャーペンタに含まれます。DメジャーペンタのF#音は、CM7にもCメジャーペンタにも含まれませんが、CM7からするとブルーノートという特色のある音になります。CM7でDメジャーペンタが使えるのは、以上のような理由からだと思います。
マイナーペンタの方が使い易い
例えば、説明したようにCM7ならDメジャーペンタと、構成音が同じBマイナーペンタが使えます。どちらを使っても同じですが、僕はBマイナーペンタを意識して弾く方が多いです。恐らくですが、メジャーペンタ派よりマイナーペンタ派、という人の方が多い気がします。
ドミナントセブンスコード
コードの種類 | ドミナント・セブンス |
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コードの例 | C7 |
コードの構成音 | C・E・G・B♭ |
ルートの音程 | 根音・短3度・短7度 |
ドミナントセブンスは根音・短3度・短7度
次はドミナントセブンスで使えるペンタトニックですが、考え方はメジャーセブンスの時と同じです。表からは根音・短3度・短7度をルートとするペンタトニックが使える、というのが分かります。根音は前述したので省き、短3度と短7度をC7を例に挙げ説明していきます。
短3度からのメジャーペンタ
①はC7の構成音ですが、それの短3度に当たるのは構成音外のE♭音です。その短3度のE♭音をルートとする、②のE♭メジャーペンタがC7で使えます。そして、E♭メジャーペンタと同じ構成音である、③のCマイナーペンタも使えるという事になります。
短7度からのメジャーペンタ
次は短7度ですが、④のC7の短7度は構成音に含まれるB♭音です。その短7度のB♭音をルートとする、⑤のB♭メジャーペンタがC7で使えます。そして、B♭メジャーペンタと構成音が同じである、⑥のGマイナーペンタも使えるという事になります。
マイナーセブンスコード
コードの種類 | マイナー・セブンス |
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コードの例 | Cm7/C-7 |
コードの構成音 | C・E♭・G・B♭ |
ルートの音程 | 短3度・完全4度・短7度 |
マイナーセブンスは短3度・完全4度・短7度
次はマイナーセブンスコードで使えるペンタトニックです。表からは短3度・完全4度・短7度をルートとするメジャーペンタが使える、という事が分かります。短3度と短7度は説明済みなので、完全4度をCm7を例に挙げ説明していきます。
完全4度からのメジャーペンタ
①はCm7の構成音ですが、完全4度は構成音外のF音です。その完全4度のF音をルートとする、②のFメジャーペンタがCm7で使えます。そして、Fメジャーペンタと同じ構成音である、③のDマイナーペンタも使えるという事になります。
マイナーコードでメジャーペンタは使える?
例えば、CM7でCマイナーペンタ(ブルーノートを含む)はよく使われます。逆に、Cm7でCメジャーペンタは使えない事もありませんが、あまり合わない組み合わせかと思います。
ハーフディミニッシュセブンスコード
コードの種類 | ハーフ・ディミニッシュ・セブンス/マイナー・セブンス・フラット・ファイブ |
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コードの例 | CØ/Cm7(♭5) |
コードの構成音 | C・E♭・G♭・B♭ |
ルートの音程 | 減5度 |
ハーフディミニッシュセブンスは減5度
次はハーフディミニッシュで使えるペンタトニックです。表からは減5度をルートとするメジャーペンタが使える、という事がわかります。CØを例に挙げ説明します。
減5度からのメジャーペンタ
①はCØの構成音で、減5度はG♭音に当たります。その減5度のG♭音をルートとする、②のG♭メジャーペンタがCØで使えます。そして、G♭メジャーペンタと同じ構成音である、③のE♭マイナーペンタも使えるという事になります。
ディミニッシュセブンスコード
コードの種類 | ディミニッシュ・セブンス |
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コードの例 | CO/Cdim7 |
コードの構成音 | C・E♭・G♭・B♭♭ |
ルートの音程 | なし |
ディミニッシュセブンスはなし
ルート音の項目になしとあるように、ディミニッシュセブンスでは使えるペンタトニックがない、というのが一応の決まりです。しかし、これも絶対的な事ではないので、前後のコードの流れなどを考え、使えそうなペンタトニックがあれば、それを当てはめるのも有りだと思います。
ペンタトニックが使えるコードまとめ
メジャー・セブンス |
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根音・長2度 |
ドミナント・セブンス |
根音・短3度・短7度 |
マイナー・セブンス |
短3度・完全4度・短7度 |
ハーフ・ディミニッシュ・セブンス |
減5度 |
ディミニッシュ・セブンス |
なし |
ペンタトニックの基本コード
コードの種類を5つ例に挙げ、使えるペンタトニックを見てきました。テンションノートを加えたコードなど、本当はもう少し種類はあるのですが、僕が基本として考えるのは、これら5種類のコードです。細かく説明してしまうと、非常に長くなるので省きますが、基本的な5種類のコードだと思ってください。
ベースソロで使う場合
これらは主にジャズを基本にした、ペンタトニックの使い方です。それ以外のベースソロでも使えない事はないですが、合っていないと感じられる事もあるでしょう。そういう場合は速弾きをしてみたり、逆に音を十分に伸ばしてみたりと、アプローチの仕方を変えてみるのも良いでしょう。
ペンタトニック依存症
ペンタトニックは特にベースソロで活かせられ、使い勝手の良いスケールです。しかし、ペンタトニックに慣れ過ぎてしまうと、抜け出せなくなる事もあります。それがダメな事ではありませんが、自分でペンタトニックに飽きがきたと思ったら、他のスケールを使う事も考えると良いでしょう。
- ペンタトニックには相性のあるコードがある。
- メジャーペンタと構成音が同じマイナーペンタも使える。
- マイナーペンタの方が使い易い気がする。