19世紀の中頃にアフリカ系アメリカ人達によって生み出された、哀愁漂う音楽をブルースと言います。そこで使用されたスケールはジャズやロックなど、様々な音楽に影響を与えました。他にも半音や全音を中心とするスケールや、日本で古くから使われていた音階も見ていきましょう。
ブルーノートスケール
ブルーノートスケール①
左の小節のCメジャースケールを例に挙げると、そこから第3音目のE音と、第5音目のG音と、第7音目のB音を、それぞれ半音下げたものが、右の小節のC音が主音のブルーノートスケールです。そして、半音下げた音の事をブルーノートと言います。
ブルーノートスケール②
左の小節はC音が主音の、マイナーペンタトニックスケールです。その第4音名と第5音目の間に入るのがG♭音で、それを含めたものがCブルーノートスケールです。先程のメジャースケールから作るブルーノートスケールとは少し違いますが、これもブルーノートスケールと言われます。
ブルーノートは共通
このようにブルーノートスケールは二通りありますが、どちらもブルーノートは共通しているのが分かります。
半音階と全音音階
半音階はクロマチックスケール
クロマチックとは半音を意味し、オクターブ内に12音の違う音程を並べたものが半音階で、英語式にはクロマチックスケールと言います。記譜(きふ)とは楽譜や音符の書き方の事ですが、半音階の場合、記譜の仕方が二通りに分かれる事が多いです。Cメジャースケールを基に考えてみます。
- 和声的半音階の記譜法
第4音目のF音だけを半音上げ、他を半音下げるのが①の和声的半音階という記譜法です。これは見ても分かるように、臨時記号を多く使わなければなりません。
- 旋律的半音階の記譜法
第7音のB音だけを半音下げ、他を半音上げるのが②の旋律的半音階という記譜法です。これだと臨時記号が少なくて済み、読譜的にも分かり易いかと思います。
- 下行形の記譜法
スケールで音が上がっていく事を上行形、音が下がっていく事を下行形、と表現する事があります。半音階の下行形は③のように、記譜法は統一されているようです。
半音階の使い方
ご存じのように、半音階を使うのは部分的な事です。ベースラインでも半音は繋がりを強める効果がありますが、使い過ぎると、怖く恐ろしい音程になってしまう事もあります。
全音音階はホールトーンスケール
ホールトーンは全音を意味し、オクターブ内を全音だけで構成されるものを全音音階、英語式にはホールトーンスケールです。全音音階のホールトーンスケールは何処かフワフワと宙に浮いたような、捉え所のないような印象を受けるかもしれません。
全音階と全音音階がある
クロマチックスケールが半音階だったので、ホールトーンスケールは全音階と思えてしまいますが、全音階はダイアトニックスケールの事なので気を付けましょう。
日本の音階
演歌の音階
左の小節はイ短調で、そこから第4音目のD音と第7音目のG音を抜いたものが、右の小節のイ短調のヨナ抜きです。このように、短調(マイナースケール)のヨナ抜きは演歌で使われる事の多い音階です。
陽旋法はマイナーペンタ
同じく左の小節はイ短調です。そこから第2音目のB音と第6音目のF音を抜けば、右の小節のA音が主音の陽旋法になりますが、これはAマイナーペンタトニックスケールと同じです。
陽旋法=民謡音階=田舎節
陽旋法は他に、民謡音階や田舎節などとも言われます。
陰旋法は都節
左の小節は先程の陽旋法ですが、右の小節は都節とも言われる陰旋法で、第2音目と第5音名に違いがあるのが分かります。陽旋法と陰旋法の違いは、言うなれば長音階と短音階の区別に似ています。
陽旋法と陰旋法は多い
陽旋法と陰旋法には種類や区別が多く、明確には決まってはないので注意してください。
雅楽の音階
日本の伝統音楽である雅楽で使われる音階が、上記左右の小節の律旋法と呂旋法です。両方を比べると第3音目が、半音だけ違うのが分かります。呂旋法はメジャーペンタトニックスケールと同じ構成ですが、これら民族的な音階の多くは、十二音音階では表現できない音も含んでいます。
琉球旋法は沖縄
島唄などでも使用される、沖縄の音階が琉球旋法です。ハ長調から考えてみると、第2音目と第6音目を抜いたものが琉球旋法になるので、長音階のニロク抜きと考えるて良いでしょう。
第2音目も抜かない?
沖縄在住の石岡さんよりコメントを頂き、第2音目も抜かず六音構成で考えるのが、最も一般的な琉球旋法との事らしいです。下記のコメントも参考にしてください。
究極の楽典
僕の愛読している青島広志さん著書の究極の楽典には、音階について更に詳しく説明されています。もちろん、他の音楽理論についても勉強になります。
- ブルーノートスケールは二通りある。
- クロマチックは半音でホールトーンは全音。
- 日本にも古くから使用されるている音階がある。
沖縄在住のベース初心者です。
参考にさせていただいております。
琉球旋法についてですが
ドミファソシドの5音階が紹介されますが
これは沖縄の音階の実情を反映していません。
沖縄の民族音楽には時代を通じて
何種類かの音階がありますが
その中でもっとも頻繁に使われている音階
いわゆる沖縄音階としてよく耳にする音階は
ドレミファソシドの6音より成り立っています。
5音階だと誤解されているのは
レの音が出てくる頻度が他の音より少ない
(だが重要なポイントで出てきます)ので
見落とされたのではないかと思いますが
今では沖縄音階=5音階という理解が一人歩きしてしまい
実際の沖縄音楽との間に乖離を生じています。
このような誤解が広まることに
良いことはないと思いますので
ネット上などでこの記述があると
コメントさせていただいております。
ご理解いただければ幸いです。
はじめまして!
お返事が遅れて申し訳ありません。
そして、沖縄在住の方からの
貴重な情報に感謝します!
私も琉球旋法を使う時に
もちろん「レ」や「ラ」を全く使わない
分けではありませんでしたが
この度に頂いた情報では
目から鱗のような気分になりました。
早速、音楽仲間にも教えてあげたいと思います。
ありがとうございました!
お互いベース頑張りましょう!