暗く悲しい音の並びがマイナースケールで、日本式では短音階(たんおんかい)と言います。メジャースケール(長音階)と同じく、マイナースケールにも並び方があります。また、マイナースケールには種類があるので、それも押さえておきましょう。
短音階の名前と機能

短音階の導音について
短音階も一音ずつに、名前と機能がありますが、これは前のページでも説明した、長音階の場合と同じです。ただ、※の導音は次の主音へと、半音で繋がっていないと、その効果がとても弱くなります。なので、短音階は導音ではない、とする場合も多いです。この事は後からも、詳しく説明しています。
- 主音(しゅおん)
音階の中で最も安定する音で、始まりや終わりに多用されます。
- 上主音(じょうしゅおん)
主音や次の中音とを繋ぐ音です。
- 中音(ちゅうおん)
音階の明暗を左右する音です。
- 下属音(かぞくおん)
主音ほど強くはないですが、音階の中心になる音です。
- 属音(ぞくおん)
下属音と同じように、音階の中心になる音です。
- 下中音(かちゅうおん)
中音より効果は薄いですが、音階の明暗を分けます。
- 導音(どうおん)
主音へ繋げる力が強い音です。
マイナースケールの全音と半音
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Aマイナースケール -
Aマイナースケール(3弦上)
マイナースケールの共通
❶はAマイナースケールで、主音のAから全音と半音が「全・半・全・全・半・全・全」と、いう並び方をしています。3弦上だけで作られた、❷のTABも確認しておきましょう。そして、この全音と半音並び方が、全てのマイナースケールに、共通している事です。
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Cメジャースケール(3弦上) -
Cマイナースケール(3弦上)
Cマイナースケールにする
❸はCメジャースケールですが、これをCマイナースケールにするには、E・A・Bに♭を付けてやります。そうすると❹のように、マイナースケールの「全・半・全・全・半・全・全」になります。他のメジャースケールからでも、♭や#を増減して、マイナースケールの並び方に、持っていくわけです。
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Cマイナースケール(3弦上) -
Cマイナースケール
弾き易くする
指板に置いたCマイナースケールでも、確認しておきましょう。❺は3弦上だけで作った、Cマイナースケールで、全音と半音は確認し易いものの、弾くのには適していません。それを弾き易いポジションに直したのが❻で、このポジションを踏まえて、次を見てみましょう。

オクターブのマイナースケール
上記は主音がC・A・E・F#のマイナースケールですが、全て主音からの間隔が、一定なのが分かります。オクターブ内のポジションですが、先ずはこれをマイナースケールのポジション、という風に覚えておいても良いでしょう。
ナチュラル・ハーモニック・メロディック

メジャースケールの導音
上記はCメジャースケールですが、第七音目のBの導音が、第八音目のCの主音へ、半音で繋がっています。全てのメジャースケールは、主音へ半音で繋がる導音がある事により、スッキリ終われるという、終止感が得られます。因みに、メジャースケールを日本式で、自然的長音階と言います。

ナチュラルはスッキリしない
マイナースケールを正しくはナチュラルマイナースケール(自然的短音階)と言います。これにはメジャースケールのような、半音による導音がないので、スッキリ感が得られないと、過去の音楽家たちは思い、次のようなマイナースケールを、考え出されました。

ハーモニックで半音3つ分
第七音目に#を付け、半音による導音にしたのが、ハーモニックマイナースケール(和声的短音階)です。これによりスッキリ感は得られましたが、第六音目と第七音目が、半音3つ分も空いてしまい、不自然だという意見もありました。そこで考え出されたのが、最後のマイナースケールです。
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メロディックマイナースケール(旋律的短音階)の上行形 -
メロディックマイナースケール(旋律的短音階)の下行形
メロディックが一番?
第六音目にも#を付け、半音3つ分を無くしたのが、❶のメロディックマイナースケール(旋律的短音階)です。しかし、これが最良のマイナースケールかと言えば、そういう分けでもありません。曲調により、ナチュラル・ハーモニック・メロディックの、三種類を使い分けるのが良いでしょう。
下行形はナチュラル
音階が上がる時を上行形、下がる時を下行形、などと言ったりしますが、メロディックマイナースケールの下行形は、❷のように、ナチュラルマイナースケールにする、というのが一般的です。その方が自然な流れになる、という事が言われますが、絶対的なものではありません。
ナチュラル・ハーモニック・メロディックの音程
ナチュラル(自然) | 全音 | 半音 | 全音 | 全音 | 半音 | 全音 | 全音 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
ハーモニック(和声) | 全音 | 半音 | 全音 | 全音 | 半音 | 半3 | 半音 |
メロディック(旋律) | 全音 | 半音 | 全音 | 全音 | 全音 | 全音 | 半音 |
音程を覚える必要はない
マイナースケール三種類の、音程をまとめてみました。私は音楽理論なども教えているので、一応は上記の音程を覚えていますが、これを覚えていても、あまり役には立ちません。
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Aナチュラルマイナースケール -
Aハーモニックマイナースケール -
Aメロディックマイナースケール
雰囲気の違いを感じる
それよりもオクターブ内で良いので、それぞれナチュラル・ハーモニック・メロディックの、マイナースケールを聞いて、雰囲気の違いを、感じられるようにしておきましょう。因みに、ここでのメロディックの下行形は、ナチュラルではないので、注意してください。

- マイナースケールは「全・半・全・全・半・全・全」。
- ナチュラルマイナースケールの導音は弱い。
- マイナースケールにはハーモニックとメロディックもある。