長調がメジャーキーのメジャースケールを表すのに対して、短調はマイナーキーのマイナースケールを意味します。マイナースケールは「ラ・シ・ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ」という音階の、Aマイナースケールを基本に見ていきましょう。
Aマイナースケールの呼び方

マイナースケールは短音階
メジャースケールは長音階でしたが、マイナースケールは短音階(たんおんかい)と言います。英語音名のAを日本語音名にするとイなので、Aマイナースケールはイ短調(いたんちょう)と言います。もっと正確に言うと「イ短調の短音階」かもしれませんが、イ短調でAマイナースケールを表しています。
英米音名を覚える
上記の表にも示す各国の音名の呼び方ですが、英米音名を覚えておけば、先ず困る事はないと思います。ポピュラー音楽で日本音名を使うことは、ほぼ無いと言って良いでしょう。
短音階の名前と機能

短音階も長音階と同じ
短音階の一音ずつにも名前と機能が与えられていますが、それらは長音階と全く同じです。以下にも示していますが、覚えておかないと困るということはありません。
- 主音(しゅおん)
音階の中で最も安定する音で、始まりや終わりに多用されます。
- 上主音(じょうしゅおん)
主音や次の中音とを繋ぐ音です。
- 中音(ちゅうおん)
音階の明暗を左右する音です。
- 下属音(かぞくおん)
主音ほど強くはないですが、音階の中心になる音です。
- 属音(ぞくおん)
下属音と同じように、音階の中心になる音です。
- 下中音(かぞくおん)
中音より効果は薄いですが、音階の明暗を分けます。
- 導音(どうおん)※
主音へ繋げる力が強い音です。
短音階の導音は導音に非ず?
第七音目の導音は主音へと流れる力が強いのですが、それは長音階の時のように、半音で繋がってないと効果が弱まります。なので、導音と呼べるのは半音で主音へ繋がった時だけ、とする場合も多いです。
マイナースケールの条件

全音と半音の並び方
フレット2つ分の距離を全音、フレット1つ分の距離を半音と言います。主音であるA音から全音・半音・全音・全音・半音・全音・全音となった時が、Aマイナースケールの並び方となります。
主音が変わったら?
上記はA音が主音のAマイナースケールですが、主音がB音やC音になったとしても、この全音と半音の並び方を守ればマイナースケールが作れます。

ピアノの全音と半音
ピアノなどの白いキーを白鍵(はっけん)と言い、黒いキーを黒鍵(こっけん)と言います。A音からB音などは隣接していますが、間に黒鍵があるので全音です。B音からC音とE音からF音は、白鍵の間に黒鍵がないので半音となります。
イ短調は白鍵だけで作られる
ピアノの場合、主音のA音からオクターブ高い主音のA音まで、白鍵だけを順番に弾いていけば、全音と半音の並び方が、Aマイナースケールでもあるイ短調の並び方をしているのが分かります。

全音と半音が分かり易い
3弦だけでAマイナースケールを表すと、上記のようになります。こうしてやると、マイナースケールの条件である全音と半音の並び方も、ピアノで見たように分かり易いかと思います。しかし、このポジションでは弾き辛いので、次のように直してやります。

Aメジャースケールのポジション
どちらの指板図も●を主音とする、Aマイナースケールのポジションです。1オクターブの範囲内でしか示していませんが、両方ともポジションが同じという事に注目しましょう。これがAマイナースケールの全音と半音の並びを作っています。
マイナースケールも共通
このポジションはAマイナースケール専用ではなく、他のマイナースケールに共通しているポジションです。主音の●のフレットを変えれば、その音名のマイナースケールが作れます。

- Aマイナースケールとイ短調は同じ。
- マイナースケールと短音階は同じ。
- マイナースケールになる全音と半音の並びがある。