音楽用語で使うフィンガリングとは、楽器を弾く指の使い方のことで、日本語では運指(うんし)と訳せます。フィンガリングは左右両手のことを差しますが、ここでは弦を押さえる手の方のフィンガリングです。親指のフィンガリングと、弦を押さえる押弦(おうげん)のコツを見ていきましょう。

ロックスタイルとクラシックスタイル

押弦は人差し指・中指・薬指・小指で行いますが、その時の親指の状態はどうなっていますか。親指の使い方は音楽ジャンルによっても異なりますが、弾き易さが大きく分かれる所でもあります。

ロックスタイルの親指
ロックスタイルの親指の画像

ロックスタイルはネックを握る

親指でネックを握り締める、というようなフィンガリングをロックスタイルと言います。決して間違いではないですが、これしか出来ないのは良くありません。押弦は安定しますが、動きの多いベースラインが出てきた時に対応が出来ません。

クラシックスタイルの親指
クラシックスタイルの親指の画像

クラシックスタイルは親指を立てる

親指をネックに立てて支える、というようなフィンガリングをクラシックスタイルと言います。親指をこのように使うと、残り4本の指を最大限に活かすことが出来るので、動きの多く速いベースラインにも対応しやすいです。

クラシックスタイルから始める

初心者のうちはどうしても、ネックを握り締めてしまった方が楽である、ロックスタイルの親指になってしまいがちです。クラシックスタイルは親指でネックをしっかりと支え、指をいっぱいに広げ押弦しにいくので、手がかなり痛くなるでしょう。それでいてロックスタイルより安定感がなく、押弦し辛いはずです。しかし、ロックスタイルよりクラシックスタイルの方が先のメリットが大きいので、今は大変かもしれませんが後から重宝するに違いありません。

ロックスタイルも使える

しかし、ロックスタイルにも良い点は挙げられます。手の大きな人なら親指を握り締めるようにして、4弦を押さえることも出来ますし、ミュートのフィンガリングとしても効果的です。また、それらとは関係なしに、ロックスタイルをメインとしているベーシストもたくさんいます。僕が特に中高生の頃に好きだった、UNICORNのベーシストであるEBIさんは、動きの多い難しいベースラインでも、ほぼロックスタイルで弾いておられたのを覚えています。両方を併用してフィンガリングするのも良いでしょう。

押弦する位置

押弦にもポイントがあります。綺麗な音が出ていればいいのですが、押さえる位置によっては思うような音が出ない場合もあります。自分がベストなポジションで、押弦できているか見直してみましょう。

フレットから離れすぎの押弦
フレットから離れすぎの押弦画像

フレットから離れすぎはダメ

4弦3フレットを押さえている様子ですが、の3フレットから押弦の人差し指が離れすぎています。これでは弦がしっかりとフレットに押さえ込まれず、音がビビってしまう恐れが多いです。例え音が鳴っていたとしても、余計な力を入れて押弦していると思います。

フレットに重なる押弦
フレットに重なる押弦画像

フレットに重なってもダメ

同じくは4弦3フレットですが、押弦している人差し指がフレットに重なっています。この押弦も良いとは言えず、フレットの真上を目的に押弦すると音がビビってしまったり、隣の4フレットの音を鳴らせてしまう恐れもあります。

フレットの直近を押弦
フレットの直近を押弦画像

フレットの直近が理想

人差し指がの3フレットの、直ぐ近くを押弦しています。指がフレットに重なってもおらず、このフレットの直ぐ近くが理想的な押弦ポイントで、安定した音が出せるでしょう。最低限の力で押弦が出来るのもメリットと言えます。

押弦は真上からソフトに

指で弦を押さえる時はなるべく指を立てて、真上から押さえるようにしましょう。例えば、壁に画鋲を刺す場合なども、斜めより垂直に刺さっていた方が安定するはずです。しかし、実際の押弦は画鋲を刺すようなイメージではなく、必要以上に力まず軽いタッチで出来るようになればベストです。

絶対的なフィンガリングはない

いつも弦はフレットの直ぐ近くを押さえ、指を立てて真上から最低限の力で押弦するのが理想です。でも、難しいベースラインが出てきた時などは、必ずしもベストな押弦をするのは無理な場合があります。また、真上から押弦するばかりではなく、指の腹や根元を使って弦を押さえる、というような例外も多々あります。基本は大事ですが絶対的ではないので、臨機応変に対処することも大事です。

記事終了
このページのまとめ
  • ロックスタイルはネックを親指で握りしめる。
  • クラシックスタイルはネックに親指を立てる。
  • フレットの直近を真上からソフトに押弦するのが理想。