押弦は指先で真上から押さえる、というのが基本です。しかし、あえてそうしないケースもたくさんあり、ミュートという音を消すフィンガリングを使う場合も、そうなることが多いです。ミュートは地味なテクニックですが、重要なフィンガリングだと考える人も多いでしょう。
開放弦をミュートさせる①
開放弦の音をミュート
先ずは譜面にある運指の通り弾いてみましょう。1・2小節目の開放弦である▲の音が、次からの音に重なり、音が濁ってしまった人もいるでしょう。気にならなければ良いとは思うのですが、好ましくはありません。そういう場合は次のように、●のタイミングで開放弦をミュートしてやります。
人差し指を1弦に触れさせる
2弦3フレットの押弦が中指とありますが、その次の音である2弦2フレットも同時に、人差し指で押弦して準備をしておきます。その時に指を寝かせて、画像のように1弦にも人差し指を触れさせ、1弦0フレットの音をミュートして音を消してやります。
2弦も人差し指でミュート
押弦する場所が違いますが、ここでも方法は前と同じです。3弦3フレットを中指で押さえますが、同時に人差し指でも3弦2フレットを押さえておきます。その時に人差し指を寝かせるようにして、2弦0フレットの音をミュートさせます。1弦に人差し指が触れても構いません。
ミュートのコツ
ミュートさせる弦は、指で触れるだけにしておきましょう。弦をフレットまで押さえ込んでしまうと、余計な音が出てしまうかもしれません。人差し指の指先では弦を押さえ、指の第一関節あたりでは弦に触れるだけという、繊細な押弦スキルが必要です。
ミュートの指は自由
ミュートさせる指ですが、どの指を使っても問題なく、余っている薬指や小指をミュートに回す人もいます。また、ミュートは押弦する手の方だけでなく、ピックや指で弾く側の手を使うこともあり、両手をセットで使えるようになると、ミュートの効果は高まります。
開放弦をミュートさせる②
いつもミュートの状態を作る
次も同じ2小節ですが、押弦する指を変えています。ここでも▲で出した開放弦の音を、●のタイミングでミュートします。また、4本の弦には出来る限り指を触れさせ、いつもミュートの状態を作る、ということも考えてみましょう。そうすることによって、やはり余計な音を出さないようにする為です。
完全なミュート状態ではない
先ずは1小節目ですが、2弦3フレットを小指で押弦するのとほぼ同時に、人差し指を寝かせ1弦0フレットをミュートしています。薬指は小指の補助、中指は次の音を押さえています。この運指でも問題ないですが、この場合3・4弦に触れている指がなく、ミュートが作れていない状態です。
ミュートのフィンガリング
2小節目の3弦3フレットを小指で押弦している状態で、同時に2弦0フレットを人差し指でミュートしていますが、今度は人差し指が鳴っている3弦以外にも触れ、ミュートのフィンガリングになっているのが分かります。場合によっては、こういうミュートが有効な時もあるでしょう。
弦を弾く方の手でもミュート
難しいフレーズになってくると運指だけで大変になり、4弦や3弦に触れる指がなくなる場合も多々あります。そういう時は、弦を弾いている方の手でミュートをします。指弾きなら親指を弦の上に乗せたり、ピック弾きなら手刀(小指の根本あたりから下)部分を弦に触れさせたり、というミュートが一般的です。
弦の共鳴を防ぐミュート
弦は振動で共鳴する
上記の2小節のように、4弦0フレットを何小節か繰り返すとします。暫くすると4弦の振動に釣られて、他の弦もプルプルと震え出し、それをピックアップが拾い音が出てしまいます。これを弦の共鳴と言います。こういう場合は1・2・3弦に指を触れ、弦の共鳴を防ぐミュートをしながら弾いてやりましょう。
弦の共鳴はジワジワと
しかし、弦の共鳴は直ぐに起こる現象ではなく、少しずつジワジワとやって来るものです。なので、慌ててミュートを行う必要はありません。また、ライブ用の大きなアンプならともかく、自宅練習用の小さいアンプだと、弦の共鳴など気にならないかもしれません。
弦の共鳴は音楽ジャンルによる
弦の共鳴は音楽ジャンルによっても左右されます。パンクやロックのような激しい音楽だと、他の楽器の音でかき消されたりして、弦の共鳴なんて気にならないでしょう。しかし、バラードのような静か目な曲で、弦を共鳴させてしまうと台無しなので、ミュートに気を配ることも必要です。
休符で音を止めるミュート
4分休符でミュートする
2小節目にある●が4分休符(しぶきゅうふ)という、音を止める音楽記号です。鳴っている音の4弦だけに指を触れミュートさせる、というフィンガリングになっても構いませんが、次の画像のようにミュートすると、分かり易くて良いかもしれません。
音を完全に切るミュート
先ほどの2小節目のように、分かりやすい4分休符なら、鳴っている音の4弦だけでなく、3・2・1弦にも指を触れさせミュートしてやりましょう。そうすれば、音を完全に切るミュートが作れると思います。
開放弦が連続するミュート
開放弦が連続するミュート
左の小節は1弦0フレットから、2弦0フレットというように、開放弦が連続しています。1弦0フレットをミュートしてやらないと、2弦0フレットの音と重なってしまいます。2弦0フレットを弾くのと同じ位のタイミングで、1弦0フレットの音を止める為に、1弦のミュートを作ってやりましょう。
開放弦の連続をなくしたミュート
右の小節は1弦0フレットを、2弦5フレットの異弦同音に直してみました。こちらも2弦0フレットのミュートが必要で、更に矢印ではポジション移動も必要です。しかし、開放弦が連続する小節よりも、ミュートのフィンガリング的には、少し楽に感じないでしょうか。
ミュートは難しいフィンガリング
上記2小節はベース教室でも使用していますが、ほとんどの人が開放弦の連続をなくした小節、の方を弾き易いと感じておられるようです。ミュートは地味で難しいフィンガリングですが、出来ると便利なスキルなので、少しずつでもミュートというフィンガリングを、意識しておくと良いと思います。
- ミュートとは音を消すフィンガリングのこと。
- ミュートはベーシストによって必要ないこともある。
- ミュートは地味だが大切なテクニックでもある。