ベース初心者の最初にぶち当たる壁の一つが、この弦交換かと思われます。初めての弦交換はきっと苦労して、思い通りに行かないと思いますが、最初は誰でもそんなもので、慣れてしまえば楽しくさえなるはずです。弦交換も演奏と同じように、人によってやり方が違ってくるでしょう。
エレキベースの弦の外し方
弦を張り替えるには、先ずは弦を外さなければなりません。そのために絶対必要ということはないですが、ペンチやニッパーがあれば作業も捗り、古い弦の処理も楽になるかと思います。100円ショップで売られているもので十分ですが、エレキベースの弦は太くて頑丈なので、大きいものであれば心強いです。
弦交換とストリングワインダー
ストリングワインダーというのは、ペグにはめてクルクル回す道具もです。ストリングワインダーがあると、弦を緩めたり締めたりするのが楽になりますが、なくても弦交換は出来るので、態々ストリングワインダーを購入する必要はないと思います。
弦交換とネックの関係
弦が正常にチューニングされた状態が、ネックにとってベストな状態です。なので、少しでもベストな状態を保つ為に、弦交換は1本ずつ行うのが良い、と言う人も多いです。しかし、以下では分かり易さ等を考え、4本の弦を全て外してから、新しい弦を張っていく方法です。
弦の順巻きと逆巻き
最初の弦交換の時に意外と迷ってしまうのが、どちらにペグを回せば、弦が緩んだり締まったりするのかということです。エレキベースによって順巻きと逆巻きといって、緩んだり締まったりする方向が違う場合もあるので、最初によく確認しておきましょう。
弦巻きから弦を外す
何弦から外してもいいと思いますが、4弦から外す場合が多いです。ある程度弦を緩めたら、弦巻きから弦が取れます。ペグを回していると、隣のペグにぶつかり邪魔な場合があるので、1枚前の写真のように、ペグを縦の方向にしておくと良いでしょう。
ペンチやニッパーで弦を切る
弦巻きから弦を外したら、そのままブリッジ穴から抜いてもいいですが、弦をニッパーやペンチで切ってやると、弦を外すのも楽になります。しかし、ベースの弦は太くて頑丈なので、かなりの力が必要です。弦を切る場合の注意ですが、ペグを回して弦を緩めてから切るようにしてください。
弦のポールエンド
ブリッジ穴に引っ掛ける弦の部分を、ポールエンドと言います。ポールエンドを指で摘んで弦を抜いたら、ようやく一本目の4弦が終了です。初めてだと大変だと思いますが、ここまでと同じようにして、3・2・1弦も外してみましょう。
古い弦の処分の仕方
古い弦を丸めて捨てるのもいいですが、画像のようにペンチやニッパーで短く切ってやると、処分するのも楽になるかと思います。前述したように、ベース弦を切るのは大変なので、弦を回しながら切り、ある程度切り目をつけ、あとは手でクネクネ曲げてやると、切れやすいと思うので試してみてください。
弦交換は掃除のチャンス
弦を全て外し終えたら、エレキベースの掃除をしておくと良く、日用品を使っても掃除は出来きます。また、ギターやベースの専用洗剤である、レモンオイルやオレンジオイルのことについても、少し触れておきます。
指板やフレットの掃除
ヘッド部分やピックアップ周り、ブリッジなどは埃が溜まりやすいので、楽器専用のポリッシュクロスで拭きとりましょう。特に指板やフレットは手の汗が原因で垢が溜まるので、しっかりと掃除しておきましょう。指板とフレットの境目は綿棒や爪楊枝、歯ブラシなどを使って掃除するのもいいでしょう。
オイルは指板に悪影響?
僕は専用のレモンオイルやオレンジオイルなどを、ポリッシュクロスに浸して汚れを落とすこともあります。ただ、レモンオイルやオレンジオイルは指板に悪影響があり、指板の寿命を縮めてしまう、ということも言われています。なので、それが心配な人は使わない方が無難かもしれません。指板の種類によっても使わない方がよい、とも言われています。僕の場合はローズ指板とメイプル指板に、オイルを使い掃除をしていますが、今のところ悪影響はありません。しかし、オイルの浸しすぎには気を付けましょう。
エレキベースの弦の張り方
弦の外し方にしてもそうですが、弦の張り方にも個人差が出てくるものです。最初はこのサイトや、エレキベースの教則本の通り真似してみて、こうしてみたいと思うことがあったら、試してみるのも良いでしょう。例えば、後述する弦の巻き数なども絶対的なものはなく、やはり好みがあると思います。
4弦から張り替える
大抵の教則本などでは4弦から張っていく、と書いてあることが多いと思います。4弦をブリッジの穴から通していきましょう。因みに、ここでは僕がエレキベース教室で教えている、生徒さんに協力してもらい、初めての弦の張り替えに挑戦してもらっています。
4弦を最後までブリッジに通す
先ずは4弦を最後までブリッジに通します。ポールエンドがブリッジ穴に、引っ掛かるのが確認できたらOKです。これは次の弦を切る作業に関わる重要なことなので、弦を最後まで通しておきましょう。
4弦を2回ほど巻ける長さに切る
4弦を真っ直ぐに伸ばし、▲あたりで弦を切りましょう。そうしてやると4弦が約2回、弦巻きに巻かれるようになります。目安は弦を差し込む弦巻きから、2つ先の弦巻きあたりを切るので、長さは12cm~15cm位になるでしょうか。なので4弦の場合だと、2弦の弦巻き辺りで切ることになります。
弦巻きはストリングポスト
弦を差し込む部分を弦巻きの他に、ストリングポストとも言われたりします。4弦をストリングポストに、奥までしっかりと差し込んでください。もちろん、3・2・1弦の時も同じようにして、ストリングポストに弦を差し込んでやりましょう。
弦を折り曲げる
弦をストリングポストに差し込んだ状態から、指でグイッと折り曲げてやりましょう。僕はこのまま弦を巻いていきますが、ペグを回しストリングポストを利用して、巻き易いようもっと折り目をつけ、弦を馴染ませてやっても良いでしょう。
弦巻きに弦を巻いていく
ある程度弦に折り目がついたら、弦を巻いていきますが、画像のように指で弦を弦巻きに押し当てながら、巻いていきましょう。弦がしっかりと巻きつくまでは、弦から指を離さない方が良いでしょう。力がいる作業なので、簡単には巻けないと思います。
ポールエンドを軽く引っ張る
大変ですが出来れば弦を巻きながらも、ポールエンドから弦を軽く引っ張っておきましょう。そうすると、弦のたるみがなくなって巻きやすくもなりますし、見た目では分からない、弦のねじれも直すことが出来ます。
弦をナットの上に乗せる
ナットには各弦の太さに応じた溝が彫ってあるので、弦が張れてきたらナットの溝に弦を乗せてやりましょう。早くからナットの上に弦を乗せて置くのも良いですが、弦でナットが削れてしまい、それを嫌う人もいます。しかし、そう極端に削れることはないでしょう。
弦巻きの状態を確認する
弦巻きに弦が2回巻かれており、これが僕の基本巻き数ですが、必ず弦巻きに弦が2回巻かれている必要もないと思います。弦を切らないで巻く人もおり、それだと弦巻きに4回ほど、弦が巻かれることになります。弦を巻く回数で音に変化があるのかというと、僕には違いが分かりません。
3弦を2回巻ける長さに切る
4弦を切ってから弦を巻いたように、今度は3弦で切る計算をしてみましょう。3弦のペグから2つ先は、1弦のペグになるので、画像の▲あたりを切ると、弦巻きに2回ほど巻ける計算です。また、細い弦になるにつれ巻き数を減らす人もおり、巻き数は少ない程に良いとする考えもあります。
ブリッジを確認する
弦を巻き終える毎に、ブリッジにも目を向けてみましょう。弦を乗せる部分をサドルや、駒(こま)と言います。画像の2弦を見てみると、少し曲がって乗っているのが分かります。こういう時は弦を緩めてから、真っ直ぐになるように修正してやりましょう。
ストリングスガイドの効果
エレキベースにもよりますが、1弦と2弦はストリングスガイド(ストリングステイナー)という部品で、弦を押さえ付けることが多いです。これで弦のテンションと言われる、張り具合を上げたり、ビビリを軽減させたりする効果があります。
ペグが固くて回し辛い時
何年もエレキベースを使っていると、ペグが固くなり回し辛いことも出てくるでしょう。そういう時は、ペグの裏側の歯車の部分に油を差してやったり、幾つかあるネジを緩めてやったりすると、回し易くなることもあります。それでも回らずに仕様がない時は、ペグ自体を交換することも可能です。
弦交換のタイミングと豆知識
他の弦楽器と同じく、エレキベースの弦にも寿命があります。しっかり手入れをしていても長く使っていると、正確なチューニングが出来なくなったり、元気のない曇るような音になったりしてしまいます。季節にも練習量にもよりますが、標準的な3000円ほどの弦で長く使えたとしても、2~3ヶ月に一度は弦の交換をした方がいいでしょう。1000円未満の弦もありますが、安いだけに弦の寿命も早いので、出来れば安い弦は避けたいところです。
お気に入りの弦を見つける
弦を張り替えるには新しい弦を購入する分けですが、一口に弦と言っても色んな種類のものがあります。弦の種類は次のページでも説明していますが、メーカーによっても音や質が違ってきます。有名なダダリオやアーニーボールを使うのもいいですし、楽器屋さんで勧められた弦でもいいので、お気に入りの弦を見つけておくといいでしょう。そうすれば、他のメーカーや違う種類の弦を使う時に、比べられるようになるので、違いも分かりやすいと思います。
死んだ弦の音も味がある
古くなって主に高音が出ない弦を、死んだ弦や死に弦などと表現しますが、その死んだ弦を好むベーシストも結構います。定期的な弦交換は基本とされていますが、死んだ弦でも音や感触が好きなら、張り替えずとも問題ないと思います。僕もジェームス・ジェマーソンという偉大なベーシストの真似をして、所有しているフレットレスベースは弦を張り替えていません。ただ弦がサビていたりすると、指板やフレットを傷めてしまうので、ケアはしっかりとしておきましょう。
死んだ弦を復活させる方法
前述したように、古く死んだ弦になってしまうと、高音が鳴らず曇った音が目立つようになります。この死んだ弦を鍋に入れ、お湯でグツグツと10分ほど茹でてやると、新品の弦の音に復活してくれます。これは昔からある方法で経済的にも助かりますが、残念なことに24時間ほどで元の死んだ弦に戻ってしまいます。僕も何度か試しましたが、確かに1日で効果は切れてしまいました。試してみるのもいいですが、手間を考えると新しい弦を買った方がいいでしょう。
張り替えたての弦は伸びる
新品で張ったばかりの弦は、グングンと伸ばされます。それぞれの弦を正確にチューニングしても、弦が伸びてしまうせいで、直ぐに音が大きく下がってしまいます。張り替えたての弦では、こういうことが何回か繰り返されるので、チューニングを何度か繰り返しましょう。そのうち弦の伸びも落ち着き、極端なチューニングの狂いも生じなくなるでしょう。
古い弦を取って置く
ベースの弦は頑丈なので簡単には切れませんが、急に切れてしまうこともあります。練習の時ならいいですが、ライブ本番前のリハーサルともなると大変です。予備の新しい弦を張ってもいいですが、説明したように、新しい弦はチューニングが直ぐに狂ってしまいます。その時のために古い弦は捨てずに、1セットだけ取って置くのも良いでしょう。
- 弦交換は弦を外す事から始まる。
- 弦交換の時は特に指板を掃除すると良い。
- 弦の張り方は人によって違う。