鳴っている弦の振動で鳴っていない弦までが震え出し、震え出した弦が知らぬ間に鳴ってしまう、ということがあります。それを弦の共鳴と言い、弦の共鳴が大きすぎてしまうと、演奏に支障をきたすので、それを防ぎながら演奏するというのが、ここで説明する弦の共鳴を防ぐミュートです。
指弾きの親指ミュート
親指はピックアップの上
指弾きでは①のように、親指をピックアップの上に乗せて弾く、と説明している事が多いです。しかし、そればかりになると冒頭で説明した、弦の共鳴を起こしてしまう場合もあります。
2弦を弾く時の親指
2弦を弾く場合は②のように、親指を4弦の上に乗せてやりましょう。そうすれば、4弦の共鳴を防ぐ事が出来ます。3弦はアポヤンドによる指が当たるので、弦の共鳴は起きません。
1弦を弾く時の親指
1弦を弾く場合は③のように、親指を3弦の上に乗せてやります。その時に親指の裏側を4弦にも触れさせてやることで、4弦の共鳴を防いでやることが出来ます。
親指ミュートは難しい
このような親指で弦の共鳴を防ぐことを、親指ミュート等と言います。親指の移動をさせながらの演奏はかなり難しいので、次のような簡単な練習から始めていきましょう。
黄色の弦を親指ミュート
- 1・4小節目
親指はピックアップの上で構いません。3弦の弾く時は4弦にはアポヤンドによる指が当たるので、それが弦の共鳴を抑えてくれます。もちろん、3弦を弾く時に親指を4弦の上に置いても良いです。
- 2・3小節目
2弦を弾く時は4弦の上に、1弦の弾く時は3弦の上に、それぞれ親指を乗せてやりましょう。そして、1弦を弾く時は4弦にも親指を触れさせて、親指ミュートを作っておきましょう。
弦の共鳴は直ぐに起こらない
弦の共鳴は直ぐに起るものではなく、ジワジワとやって来るものです。なので、親指ミュートも慌ててする必要もなく、余裕をもって行えれば十分に間に合います。
ピック弾きのチョップミュート
ピック弾きでは親指ミュートで、弦の共鳴を防ぐ事は出来ません。なので、ピック弾きでは手でチョップをする部分を弦に触れさせてやります。ここではそれを、チョップミュートと呼ぶ事にしておきます。
チョップミュートの説明
上記の画像は全ての弦を、チョップミュートしている状態です。このようなフィンガリングでピック弾きしていく分けですが、もちろん、鳴らそうとしている弦までチョップミュートしてしまうと、まともな音は出ません。チョップミュートの基本は次の通りです。
- 4弦を弾く時はチョップミュートなし。
- 3弦を弾く時は4弦をチョップミュート。
- 2弦を弾く時は4・3弦をチョップミュート。
- 1弦を弾く時は4・3・2弦をチョップミュート。
押弦の手の方も使う
4弦を弾く時はチョップミュートは要りませんが、3・2・1弦の共鳴はどうやって防ぐのか、と思う人もいるでしょう。そういう場合は、押弦する方の手を3・2・1弦に触れさせ、弦の共鳴を防いでやります。このように左右両手を使えた方が効果的で、これは指弾きでも同じことが言えます。
黄色の弦をチョップミュート
- 1小節目
3弦3フレットから4弦をチョップミュートしてやります。4弦をチョップミュートしながらも、3弦を弾く自分なりのポイントを見つけてください。
- 2小節目
2弦3フレットからは4・3弦をチョップミュート、1弦4フレットからは4・3・2弦をチョップミュートしてやります。かなり繊細なフィンガリングを必要とします。
- 3小節目
2弦5フレットを弾く直前で、2弦のチョップミュートを解いてやりましょう。チョップミュートをするのと同じく、チョップミュートを解くのも難しいはずです。
- 4小節目
3弦5フレットを弾く直前で3弦のチョップミュートを解き、4弦5フレットからはチョップミュートなしになります。
チョップミュートの場所
ベーシストによってはチョップミュートを、手首から手の平にかけてする人もいます。チョップミュートはピックを当てる角度によっても異なるので、色々な部分を使ってみてください。
親指ミュートとチョップミュートの練習
大きな譜面を開く親指ミュートを続ける
先ずは親指ミュートで、黄色の弦の共鳴を防ぐ練習です。3小節目の※は4弦の親指ミュートを、4小節目の※では3弦の親指ミュートをしなくても良いのですが、そのすぐ後に再び親指ミュートをするので、こういう時は親指ミュートを続けたまま弾いた方が良いでしょう。
大きな譜面を開くチョップミュートは要らない
前と同じ譜面ですが、今度はチョップミュートで弦の共鳴を防ぐ練習です。譜面の通りだと、1小節目の※は4弦をチョップミュートしますが、その直後に4弦のチョップミュートは必要なくなるので、※もチョップミュートの必要はありません。2・4小節目の※も同じことが言えます。
弦の共鳴など気にしない
弦の共鳴を防ぐミュートは難しくもあり、聴いている人には何一つ伝わらないテクニックです。また音量によっては、共鳴が全く起こらない場合もあります。なので、共鳴を気にしないベーシストもおり、それはそれで良いとも思います。今は必要ないと思ったら、急いで覚える必要もないでしょう。
- 指弾きは親指ミュートで弦の共鳴を防ぐ。
- ピック弾きはチョップミュートで弦の共鳴を防ぐ。
- 弦の共鳴は気にならなければ問題なし。