ピック奏法の細かな部分にも、具体的な呼び方が決められており、演奏目的によって使い分けられることもあります。既にピックで弾いている人たちは、自然と出来ているかもしれませんが、呼び方の確認をしておきましょう。また、ピック奏法で辻褄を合わせる弾き方、も覚えておくといいでしょう。
ダウンとアップでオルタネイト
ダウンピッキングの特徴
ピックを親指と人差し指で摘むとして、人差し指側のピック表面で弾き下ろせば、それはダウンピッキングと呼ばれます。弾き始めはダウンピッキングから入るのが自然で、音の粒を揃え易いのが特徴です。テンポが速い曲になってくると、ダウンピッキングのみで弾き続けるのは困難です。
ダウンピッキングの記号
ダウンピッキングは四角形の底辺を除いてやった、というような記号で表されます。
アップピッキングの特徴
同じくピックを親指と人差し指で摘むとして、親指側のピック表面で弾き上げれば、それはアップピッキングと呼ばれます。ダウンピッキングとは違い、アップピッキングだけを連続させて弾くことは、普通はしないことですが、慣れるとクセになり面白いです。
アップピッキングの記号
アップピッキングはアルファベットのVのような、といった記号で表されます。
オルタネイトピッキングで楽々
アップピッキングはダウンピッキングと、合わせて使うのが普通です。上記の2小節もとが交互に並んでおり、この繰り返しをオルタネイトピッキングと言います。オルタネイトピッキングのスキルを身に付ければ、テンポの速い曲でも長時間に渡り楽に弾けるでしょう。
アップピッキングから弾く
小節の頭はから弾き始めた方が、大抵の人は弾き易いはずです。そこをあえて弾き出し難いから入ってみる、というのも良い練習になります。弾き始めがになると、リズムが取り辛く安定しません。余裕があればで良いので、から入るオルタネイトピッキングも練習しておきましょう。
8(エイト)ビートで練習
8ビートというのは8分音符が主体のリズムで、練習曲として取っ付き易いリズムです。8ビートのベースラインを、ダウンピッキングとオルタネイトピッキングで練習してみましょう。
大きな譜面を開くダウンピッキングでまとめる
先ずはダウンピッキングだけで、上記のベースラインを弾いてみましょう。前述したように、ダウンピッキングは音量や音質を揃え易いので、このような8分音符が続くベースラインを、綺麗にまとめて弾くことが出来ます。しかし、テンポが速いと体力的に厳しくなるのが難点です。
松井常松のダウンピッキング
既に解散したバンドですが、BOØWYのベーシストの松井常松さんは、どのようなハイテンポの曲でもダウンピッキングのみで弾き切る、ということで有名でした。
大きな譜面を開くオルタネイトピッキングの音量
今度も同じベースラインですが、オルタネイトピッキングで弾いてみましょう。オルタネイトピッキングはテンポの速い曲にも対応し易いですが、ダウンピッキングとアップピッキングで音量の違いが極端に出る人もいます。オルタネイトピッキングになっても、同じ音量を出せるようにしてやりましょう。
空ピッキング/空ピック
今度もリズムは8ビートですが、8分音符だけではなく4分音符が入ってきます。この4分音符が入ることにより、オルタネイトピッキングが崩れてしまう、ということもあります。
大きな譜面を開くダウンピッキングの連続
1~4小節目をオルタネイトピッキングで弾く記号の場合だと、2・4小節目の頭はになってしまいます。それでも問題はないのですが、上記の譜面のように、2・4小節目の頭をにするには、1・3小節目でを連続させてやると、2・4小節目もから入れるようなり、弾き易くなると思います。
空(から)ピッキング
5・7小節目のは空ピッキングを表しており、ピックを弦に当てず空振りさせてやります。5・7小節目の頭にある8分休符をさせてやることにより、次の音をにし易くなります。これらのことは、6・8小節目の頭をから入れるよう、やはり弾き易くしてやる為です。
空ピッキングと空ピック
空ピッキングは空ピックとも言われますが、厳密には異なるスキルだとする場合もあるようです。しかし、僕はややこしく思うので、空ピッキングも空ピックも同じ意味としています。
空ピッキングをゴーストノートに
左の小節は空ピッキングの5小節目です。右の小節は空ピッキングを、ゴーストノートに変更した小節です。説明したように、空ピッキングはワザと空振りさせますが、ゴーストノートは実際にピックと弦の接触があるので、リズムやタイミングを取り易い人もいます。
ゴーストノートでもOK?
空ピッキングとゴーストノートとでは、譜面的に違う表現になりますが、ゴーストノートの方が好きなら、休符をゴーストノートにしても良いと思います。
空ピックの自然発生
今度は1小節目に注目してみましょう。意識せずに弾けていた人もいると思いますが、が連続する1小節目の見方を変えると、右の小節でも示しているように、4分音符の直後にアップピッキングによる空ピックが自然発生している、とも考えられます。
- ダウンピッキングはピックで弾き下ろす奏法。
- アップピッキングはピックで弾き上げる奏法。
- オルタネイトピッキングはダウンとアップを繰り返す奏法。