チューナーを使うチューニング方法に慣れてきたら、いずれは自分の耳を頼った、チューニング方法も覚えておくと便利です。また、チューニングにはレギュラーチューニング以外に、音を下げて合わせるチューニングがあります。レギュラーチューニングほど、使用する機会は多くありませんが、偶に必要とする場合も出てくると思うので、覚えておきましょう。
異弦同音を利用したチューニング
過去のページの異弦同音(いげんどうおん)でも説明したように、4弦から2弦の5フレット目は、開放弦でも同じ音が出せます。これを利用したチューニング方法もありますが、最初はかなり難しく感じられるので、繰り返しの練習が必要でしょう。

異弦同音チューニングの手順
- 先ずはチューナーを使い、3弦を「A」音に合わせます。
- 次に4弦5フレットを押さえながら、これを3弦の音に合わせます。
- 今度は2弦を3弦5フレットの音に合わせます。
- 最後に1弦を2弦5フレットの音に合わせます。
チューニングと音の関係
ここでは3弦を基準の音にしましたが、異弦同音の仕組みが分かっていれば、どの弦を基準にしても合わせられるでしょう。また、ベースの音色によってもチューニングが左右されるかと思います。アンプの設定で低音を下げ、高音を上げてやると聴き取りやすい音が作れるので、チューニングし易くなるかもしれません。
ハーモニクス奏法を利用したチューニング
倍音(ばいおん)とも言われるハーモニクスは、簡単にいうと高い音のことです。何故ハーモニクスという音が出るのか、という仕組みを説明すると、とても長く難しくなるので、ここでは省略します。5フレット目と7フレット目の、ハーモニクスが出しやすいので、先ずはそのフレットで、ハーモニクスの音だけを、出す練習をしてみてください。ハーモニクスの出し方は以下の通りです。
- 指定されたフレット(実際に指で触れるのは弦)の上に軽く指を置く
- その状態から指やピックを使い弦を弾く
- 弦を弾くと同時に弦に軽く置いて置いた指を離す
- 成功すると「プ~ン」という高い音が出る




ハーモニクスチューニングの手順
- チューナーで3弦を「A」音に合わせます。この3弦の音が基準になるので、もう3弦のペグは回しません
- 3弦7フレットのハーモニクスを出してください。その音に4弦5フレットのハーモニクスを合わせるので、回すペグは4弦です。
- 3弦5フレットのハーモニクスを出してください。その音に2弦7フレットのハーモニクスを合わせるので、回すペグは2弦です。
- 2弦5フレットのハーモニクスを出してください。その音に1弦7フレットのハーモニクスを合わせるので、回すペグは1弦です。
ハーモニクスのチューニングの様子
上記の音源はハーモニクス奏法で、チューニングをしている様子です。二音で鳴っていたハーモニクスが、最終的には一音になったかのように、合わさった様子を感じ取れるでしょうか。
チューナーで確認
最初はハーモニクスの音を出すだけでも苦労するので、これでチューニングをしようと思うと大変です。何となくでもいいので、出来たと思ったらチューナーを使い、音が合っているか確認してみましょう。繰り返すうちにポイントも分かってくると思います。ハーモニクスチューニングが出来るようになれば、チューニングを素早く済ませられるので、ライブなどの時には重宝すると思います。
実音を聞いてチューニング
今度はシンプルなチューニングをしてみましょう。僕が録音した4弦から1弦の開放弦の音を聴きながら、それと同じ音に合わせてやりましょう。チューニング方法自体は簡単ですが、もちろん直ぐには出来ないと思います。




チューニング時の音の揺れ
どのチューニングにでも言えることですが、音の揺れに注目してみましょう。音が合ってない時は音の揺れが大きく、合わさってくると音の揺れが少なくなり、完全に合うと音の揺れがなくなり、一つにまとまる感じがします。チューニングは耳はもちろんのこと、感覚でも音を拾えるようになると、良いかもしれません。
弦の呼び方について
弦は1弦・2弦・3弦・4弦という呼び方だけではなく、開放弦の音名に因んで、呼ばれることがあります。4弦をE弦、3弦をA弦、2弦をD弦、1弦をG弦、といった具合です。チューニングとは直接関係ないことですが、覚えておいても良いでしょう。
ハーフダウンチューニング
4弦をE音、3弦をA音、2弦をD音、1弦をG音、に合わすのが通常のチューニングで、それがレギュラーチューニングです。そのレギュラーチューニングから、全ての弦を半音下げてやるのがハーフダウンチューニングです。

ハーフダウンチューニングは半音下げ
最近のチューナーはフラット機能というもの備わっているので、それを利用すればレギュラーチューニングと同じように、ハーフダウンチューニングも容易に合わせることが出来ます。しかし、フラット機能がないチューナーもあるので、その場合は各弦の1フレット目を押さえ、普段通りのチューニングをすれば、ハーフダウンチューニングになります。またハーフステップダウンチューニングとあっても、同じ意味なので覚えておきましょう。
ハーフダウンチューニングにする理由
キーとは中心になる音のことですが、それが「E」の曲があったとします。ボーカルがそのキーでは声が出ないので、半音下げて演奏しようとなった時に、辻褄を合わせる為に、ハーフダウンチューニングが使われたりします。しかし、ハーフダウンチューニングの指定があっても、開放弦が使えない弾きづらさや、曲の印象が変わることもありますが、レギュラーチューニングのままで弾けないこともありません。
ドロップDチューニング
ハーフダウンチューニングよりも、使用する機会が少ないのがドロップDチューニングでしょうか。同じくレギュラーチューニングを基準に、ドロップDチューニングを考えていきましょう。

ドロップDチューニングは4弦を全音下げ
レギュラーチューニングから、4弦だけを全音(フレット2つ分)下げてやったものがドロップDチューニングです。半音下げ機能があるチューナーのように、全音下げ機能のチューナーもありますが、それが無い場合、4弦2フレットを押さえながら、通常通りのチューニングをしてください。2弦と4弦が同じ音名の「D」になりますが、2弦と4弦は1オクターブ上下の関係にあります。
ドロップDチューニングで音圧をアップ
ドロップDチューニングはロックやハードコア等の、ヘビーなジャンルで使われることが多いです。4弦だけですが、ハーフダウンチューニングよりも半音低くすることによって、音に厚みが増し、重いサウンドを出すことが出来ます。弦には太さを表すゲージという言葉がありますが、ドロップDチューニングを頻繁に使用するベーシストは、弦のゲージを大きくしている傾向にあり、そうすることによってテンション(張力)を上げ、弦の緩みを抑えます。
チューニングの種類はたくさん
僕は使ったことがないので、詳しくは分かりませんが、他にもドロップCチューニングや、全ての弦を全音下げたりするチューニングや、主にギターで使われる、コードを簡単に弾くための、オープンチューニングなどがあります。また、音を下げるチューニングばかりではなく、レギュラーチューニングより音を高く合わせる、アップチューニングなどを使うベーシストもいます。