ピアノと同じくエレキベースのフレットにも、一音ずつ「ド・レ・ミ」が割り振られています。しかし「ド・レ・ミ」よりも「C・D・E」の英語音名で覚えておくと、後からコードを覚える時に役立ちます。4弦ベースの指板の音名はもちろん、5弦ベースや6弦ベース、覚え方のコツなども考えてみましょう。
指板の音名を見比べる
指板の音名の基準
上記の指板が4弦ベースの音名の並び方です。フレットの数はエレキベースにより多少誤差がありますが、大体21フレット位までです。この4弦ベースの指板の音名を基準として、5弦ベースと6弦ベースの指板の音名が、どのように増えていくのか見てみましょう。
左利き用ベースの音名
②は左利き用ベースの音名を表しています。
5弦Low-Bは低い音
5弦ベースの多くは5弦Low-Bと言われる、4弦ベースより低い音が出せる仕様になっています。5弦Low-Bの指板の音名は上記の通りで、新しく加わった音以外は、4弦ベースと同じなのが分かります。
5弦Hi-Cは高い音
本数は少ないですが、5弦ベースには5弦Hi-Cと言われる、4弦ベースより高い音が出せるものもあります。バンド演奏より一人で弾く機会の多いベーシストが、好んで使用しているかと思います。
6弦はLow-BとHi-C
5弦より更に弦の1本多い6弦ベースは、Low-BとHi-Cが合わさった仕様になっています。当然、指板の音名を覚えるのも大変ですし、先ず最初から6弦ベースを手にする人は極めて稀かと思われます。
ギターと6弦ベース
最後にギターの指板の音名も見てみましょう。ギターの弦は通常6本ですが、先程の6弦ベースと同じではありません。6・5・4・3弦までが4弦ベースと同じで、残りの2・1弦はギター独特の音名をしています。特に2弦の音名の並び方が、ベースから始めた人にとっては、少し厄介に感じると思います。
指板の音名を覚えるのは何故か?
曲に自分でベースラインをつけるには、その小節のコードをヒントにします。そして、コードからベースラインを作るには、指板の音名を覚えておくことが必要不可欠です。しかし、それらにまだ興味がない人は、無理をして指板の音名を覚える必要はないでしょう。
指板の音名の覚え方①
指板の音名を区切る
指板の音名を覚えるのにも、ちょっとしたコツがあります。先ず指板の音名を0~5フレットまでを第1ポジション、7~10フレットまでを第2ポジション、12フレット以降を第3ポジション、という風に区切ってみましょう。先ず覚えるべきは第1ポジションで、後の第2・3ポジションは一旦忘れてください。
Cメジャースケールの配列
第1ポジションを更に限定すると、その中には「C・D・E・F・G・A・B・C」の、つまりは「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド」があります。これをCメジャースケールと言い、先ずはこのCメジャースケールの配列を覚えてください。これだけを1週間かけて覚えても構いません。
オクターブは同じ音名
オクターブというのは音が一回りすることで「C・D・E・F・G・A・B・C」の、最初と最後の「C」の関係のことです。オクターブは音の高さが違いますが、音名は必ず同じになります。それを表したのが上記の3弦と5弦のオクターブポジションで、この関係はフレットがずれようと変わりません。
4弦と2弦でも同じ
先程は3弦と5弦のオクターブポジションでしたが、それぞれ1本ずつ弦をずらしてやっても同じで、上記のように4弦と2弦でも同じオクターブポジションが作れます。このように、オクターブポジションを利用すると、指板の音名を覚えるヒントになります。
3弦0フレットは4弦5フレット
左の指板図は先程のオクターブポジションですが、3弦0フレットの「A」に注目してください。右の指板図には4弦5フレットも「A」とありますが、3弦0フレットと4弦5フレットの「A」は、全く同じ高さの音になります。エレキベースに限らず弦楽器は、違う弦で同じ高さの音を出すことが可能なのです。
異弦同音は同じ高さの音
同じように、2弦0フレットと3弦5フレットの「D」は同じ高さの音で、1弦0フレットと2弦5フレットの「G」も同じ高さの音になります。このように、4弦0フレット以外の開放弦は、隣の弦の5フレット目で同じ音が出せるのです。こういう仕組みを音楽用語で、異弦同音(いげんどうおん)と言います。
音名のないフレットは?
Cメジャースケールを覚え、オクターブポジションと異弦同音を利用すれば、これで一応は第1ポジションの指板の音名は覚えられることになりますが、音名のないフレットもあります。それについては別ページの、半音上がるシャープと半音下がるフラットで説明しています。
指板の音名の覚え方②
第2ポジションは応用
次は7~10フレットまでの、第2ポジションの指板の音名です。しかし、また最初から覚えていくということではなく、第1ポジションで覚えたことを応用し、そのまま当てはめてやることが出来ます。
Cメジャースケールの移動
左の指板図は第1ポジションのCメジャースケールですが、これらの音名を右の指板図のように移動させて、第2ポジションに当てはめることが出来ます。弦が1本ずつずれていますが、フレットの間隔は同じです。これで第2ポジションの指板の音名は、?で示す4つのフレットだけです。
オクターブポジションの利用
Cメジャースケールで分かっている音名から、オクターブポジションを利用してやると、4弦7フレットは「B」で、1弦9フレットは「E」で、1弦10フレットは「F」というのが分かります。残るは1弦7フレットの音名です。
隣の音名をヒントにする
第1ポジションを思い出してみると、音名「A」の直ぐ上は「D」だというのが分かります。これは第1ポジションだけで偶然に起こることではなく、どのフレットでも必ずそうなります。なので、第2ポジションの1弦7フレットも「D」ということになります。
指板の音名は相対的
先程の「A」と「D」だけでなく、指板の音名は相対的に配列されています。例えば「C」を基準にすると、そこから「E」や「G」や「B」は、第1・2ポジションを見比べてみても、どれも同じだけの距離を保っています。これを覚えておいても、指板の音名を探すヒントになると思います。
指板の音名の覚え方③
第3ポジションは既出
最後は12フレット以降の、第3ポジションの音名です。高音のポジションは特にややこしく感じますが、第1・2ポジションが頭に入っていれば、第3ポジションは既に覚えているのと同じなのです。
12フレット以降の音名
第1・3ポジションの音名を見比べてみると、0フレットは12フレットと、1フレットは13フレットと、2フレットは14フレットと、それ以降も全く同じ音名の並び方をしています。なので、12フレットからの音名を思い出す時は、0フレットからの音名を思い出せば良い分けです。
12フレット先はオクターブ
改めて考えてみましょう。3弦3フレットの「C」をスタート地点として、ゴール地点を3弦15フレットにすると、それで丁度1オクターブです。これはどのフレットからスタートしても、同じ弦の12フレット先はオクターブの関係なので、従って音名が同じになるわけです。
十二音音階が日常的
弦楽器ばかりではなくピアノのような鍵盤楽器も、12音でオクターブとなっています。このように、12個で音が一周する音の並び方を、十二音音階(じゅうにおんおんかい)と言います。私たちがよく聴く音楽や手にする楽器も、ほとんどが十二音音階で作られています。
民族音楽は音階が細かい
しかし、世界の全ての音楽が十二音音階というわけではありません。分かり易いところでアフリカなどの民俗音楽などは、オクターブを13個以上で分けることが多く、もっと細かで複雑です。
- 指板の音名はベースラインを作るのに必要。
- 指板の音名を覚えるにはコツがある。
- 十二音音階はオクターブを12個で分けること。