音楽経験が皆無でも、TAB(タブ)譜面なら直ぐに読めます。TAB譜面は弦楽器特有の便利な譜面で、まるで音符が翻訳されたように、簡単に読むことが出来ます。教則本やバンドスコアなどでも、必ずと言っていいほどTAB譜面が使われています。また、TAB譜面は日本に限らず世界共通の譜面です。
TAB(タブ)譜面は数字の音符
横線は弦で数字はフレット
上段に音符が、その音符の下にTAB譜面が書かれる、というのが一般的です。TAB譜面の横線は弦を表していて、一番上から1弦・2弦・3弦・4弦という具合です。ここでは4弦ベースなので線が4本ですが、5弦ベースになると線も5本になります。TAB譜面にある数字はフレットを表しているので、順番に読んでいくと「3弦3フレット」「2弦2フレット」「1弦4フレット」「4弦0フレット(開放弦)」になります。
TAB譜面と指板図
最初に見たTAB譜面を、指板図で表してみたのが上記の4つです。TAB譜面にはフレットの区切りがないので、最初は少し戸惑うかもしれませんが、同じ弦とフレットのポジションを、示しているのが分かってくると思います。前のページで見た、弦とフレットの見方・数え方が理解できていれば、TAB譜面の読み方も直ぐに理解できるでしょう。
ヘ音記号は音部記号の1つ
音符が書かれる場所の最初には、音部記号(おんぶきごう)という音楽記号があり、それは音の高さを示す音楽記号だと思ってください。音部記号には種類があり、ここで見られるのはヘ音記号(へおんきごう)で、エレキベースやチェロなど、音の低い楽器に用いられます。ヘ音記号は他に低音部記号や、へ字記号とも言われます。しかし、TAB譜面を読むに限っては、ヘ音記号を特に意識する必要はありません。
拍子記号はリズムを決める
ヘ音記号の右隣にあるのが、リズムを決める拍子記号(ひょうしきごう)というものです。多くは分母と分子で「〇分の〇拍子」と表現しますが、ここではとあり、これは4分の4拍子と同じ意味です。TAB譜面を読むのにもリズムは大切ですが、最初からタブ譜面だけ見て弾くより、音源と合わせて演奏することが多いと思うので、拍子記号でそんなに悩むこともないと思います。
TAB(タブ)譜面のデメリット
幼い頃にピアノなどの経験が全く無く、音符に慣れていなくても、TAB譜面なら簡単な練習で直ぐに読めるかと思います。ほとんどのエレキベース初心者は、TAB譜面を見ながら弾くことになると思いますが、メリットばかりではなくデメリットも幾つか考えられます。
TAB譜面は弾き方を限定する
先ずは運指(うんし)についてです。運指とは字の通り指の運び方、弦の押さえ方のことです。上記の両方の小節を見比べてください。音符は全く同じですが、TAB譜では違っています。どちらかが間違いという分けではなく、どちらも正しい音の高さを記す、音符とTAB譜面です。これは後のページでも説明していますが、異弦同音(いげんどうおん)という弦楽器の特徴です。それを把握していないと、まるでTAB譜面は弾き方を限定する、かのように思えてしまいます。
TAB譜面は音程を把握し辛い
音と音との差を音程(おんてい)と言いますが、TAB譜面はその音程を把握し辛いものです。その点、音符では音程が確実に見て取れます。TAB譜面でも大体の音程は見て分かりますが、ギターやベースの経験がない人には分かり辛いでしょう。
TAB譜面は編集に向かない
採譜(さいふ)とは音符をノートに書き留めておくことですが、採譜するのがTAB譜面の場合、後から譜面に手を加えようという時にも、編集し辛く向いていないと思います。何より音楽をやっているという気がしないので、モチベーションが削げてしまう人もいるかもしれません。
TAB譜面はメリットの方が大きい
TAB譜面のデメリットを3つ挙げてみました。もしプロを目指すなら、TAB譜面より音符を読むようにしましょう。初見の読譜に強いミュージシャンは、重宝され仕事の数も増えるはずです。でも、そうでない人はTAB譜面だけ読めれば十分だと思います。音符を読み書きするのには時間がかかりますし、それだけで嫌になってしまいます。デメリットで説明した運指も、弦楽器の仕組みを理解すれば問題ありません。
- TAB譜面は数字で表される音符。
- TAB譜面にヘ音記号は全く関係ない。
- プロを目指さなければTAB譜面さえ読めれば十分。