ジャズではツーファイブ、という言葉をよく耳にします。ツーファイブはジャズに限らず、頻繁に使用される、ドミナントモーションを含んだ、連結力の強いコード進行、といった感じです。ツーファイブの基本的な事と、ツーファイブの応用、といった事も見ていきましょう。
ツーファイブ(基本)
ツー・ファイブ・ワン
2小節目のDm7から、ツーファイブの流れが始まり、トニックコードのC△7を含めてが、ツーファイブです。この時のC△7をワンと表現するので、正確にはツー・ファイブ・ワンですが、大抵ワンは省略されてしまいます。次に何故ツーファイブというかを、見ていきましょう。
ダイアトニックコードの順番
Cメジャーキーのダイアトニックコードを、順番に並べた時、2番目にDm7、5番目にG7が位置するので、それに合わせてツーファイブ、というわけです。もちろん、キーが変わればコードも変わります。Fメジャーキーでも、見てきましょう。
コードの種類は同じ
今度は2番目がGm7、5番目がC7で、これがFメジャーキーのツーファイブです。コードのルートは変わりますが、コードの種類は変わらず、これは全てのメジャーキーで、共通している事です。マイナーキーでも考え方は同じですが、次のように少し変化があります。
マイナーキーのツーファイブ
Aナチュラルマイナーキーの場合、2番目のBØを書き換えるとBm7(♭5)で、減5度になる事が多いです。そして、5番目はEm7ですが、これではドミナントモーションが起こせないので、E7にしてやります。これがマイナーキーの、基本的なツーファイブと、一先ず覚えておきましょう。
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メジャーキーのツーファイブ
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マイナーキーのツーファイブ
トニックコードの種類
ディグリーネームでも、ツーファイブの流れを見ておきます。2番目のツーをスタートとし、5番目のファイブで折り返し、1番目のワンがゴール、といった感じです。ワンのトニックコードですが、これは曲に合わせて、種類が変わってくるので、臨機応変に対応していきましょう。
ベース指板でツーファイブ
ツーファイブは2回の完全4度進行で、完成するコード進行です。ベース指板の音名は、同フレットの4弦から1弦にかけて、完全4度で並んでいます。なので、これを利用すれば、ツーファイブを探る事が出来ます。一部を切り取っても、見ていきましょう。
ツーファイブのルート音名
3弦から1弦にかけてと、4弦から2弦にかけて、ツーファイブのルート音名を、示していると思ってください。これを説明もしてきた、下記のツーファイブのコード進行に、当て嵌めていけば良いわけです。
| メジャーキー | ◯m7 ⇒ ◯7 ⇒ ◯△7 |
|---|---|
| マイナーキー | ◯m7(♭5) ⇒ ◯7 ⇒ ◯m7(ツーは ◯m7 にしても良い) |
ツーファイブ(応用)
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C△6だけの4小節
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ツーファイブを置いた3小節目
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ツーファイブを置いた2 ・3小節目
ツーファイブを作る
主にはアドリブソロの時ですが、❶のようにC△6が続く場合、❷や❸のように、即興でツーファイブを作ってしまい、コード進行に変化をつけるという事が、ジャズではよくあります。こうする事により、ウォーキングラインも、単調にならなくて済みます。
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仮のトニックコードDm7
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ツーファイブを置いた2小節目
更にツーファイブを作る
❹は先程のツーファイブを置いた3小節目ですが、このツーだったDm7を、仮のトニックコードと見立てます。そうすると❺のように、2小節目にツーファイブを作る、という事もジャズではあります。元はC△6だけの4小節なので、演奏者同士で音が合わない、という事もあります。
個々が違うコードで伴奏
ウォーキングラインは、小節にある通りC△6ですが、ギターは先程の❸のツーファイブ、ピアノは先程の❺のツーファイブ、でそれぞれ伴奏させています。例えば、サックス奏者がソロをとる時、他の演奏者は、このように違うコードで、伴奏をする事があるわけです。
強拍の音に注目
今度はウォーキングラインを、上記のツーファイブで弾き、ギターとピアノの伴奏はC△6のみです。ツーファイブにした2・3小節目の、強拍の音に注目してみると、C△6の構成音と、重なっているものが多いです。このように、音を分析していくのも良いでしょう。
ツーファイブの練習
スケールで乗り切っても良し
同じコードが数小節続くと、意外とライン作りに、困ってしまうかもしれません。私は上記のようなラインにしましたが、シンプルにAマイナースケールのみで乗り切ってしまう、というコーラスがあっても良いでしょう。ここでのツーファイブは、5・6小節目と、7・8・9小節目です。
ツーファイブのラインも色々
先程と同じコード進行ですが、2小節目にツーファイブを置き、ラインを作ってみました。ツーファイブのラインも、ルートばかりではなく、3・5・7度から入るのも良いです。また8小節目のように、ファイブのコードに、フラットナインスを使い、より不安定なサウンドを、作る事もあります。
- ツーファイブはワンに繋げ易いコード進行。
- ツーファイブはベース指板でも探れる。
- ツーファイブを作ってしまう事も可能。