4分の4拍子でいう強拍(きょうはく)とは、1拍目と3拍目の事を言います。そして、その強拍にコードトーンを置くというのが、現在で最も基本的な、ウォーキングベースの作り方と言えます。この時の弱拍(じゃくはく)の2拍目と4拍目、1拍目にルート以外の音を弾く、という事も考えてみましょう。
・コードトーンの略記号ウォーキングベースの音使い

弱拍の音の使い方
過去にも説明したように、コードトーンだけのウォーキングラインも、使えない事はありませんが、ジャズっぽさは出ません。なので、ここから強拍の1・3拍目を残し、弱拍の2・4拍目を変えてみましょう。何の音を使っても良いのですが、次のようにすると、落ち着いたウォーキングベースになります。
アプローチノートとは?
次に全音で繋がる●をホールトーンノート、次に半音で繋がる▲をクロマチックノートと言います。これらはアプローチノートと言われ、ウォーキングベースの繋がりを、スムースにしてくれます。

ウォーキングベースの基本形
2拍目と4拍目にノンコードトーンを置きましたが、次のコードトーンに▲か●で繋がっている、というのが分かります。これが最も多いとされる、ウォーキングベースの組み立て方です。このように作っていけば、安定感も得られ、ウォーキングベースっぽさも出せます。

アプローチノートに縛られない
ただ、アプローチノートに縛られ過ぎず、2・4拍目はもっと自由で構いません。私がよくやるのは、4拍目はクロマチックノートにしますが、2拍目は1拍目の半音上を弾く、というものです。半音進行が多くなり、ヤバい感じもしますが、ずっとでなければ、こういうウォーキングラインも面白いでしょう。
ウォーキングラインも癖や個性
前述したウォーキングラインの作り方が、最も使われているのは間違いありませんが、それでも7割に満たない位でしょう。ウォーキングラインも人それぞれ、癖や個性が出てくると思います。
1拍目にルート以外

ウォーキングラインの広がり
ジャズは同じコード進行を、何度も繰り返すので、いつも1拍目にルートを置くと、ウォーキングラインも広がらず、似通ってしまいます。なので、1拍目にルート以外のコードトーンを置く、という事が頻繁にあります。上記の1拍目がルートのウォーキングラインを、アレンジしていきましょう。

ウォーキングラインの組合せ
ここでは1拍目に、2小節目は3度、3小節目は5度、4小節目は7度、を置いてみました。他にも組合せは複数あるので、何種類ものウォーキングラインが、作れるわけです。このままでも良いのですが、1・2小節目の●を、アプローチノートにしてみます。

コードトーンに繋げる
1・2小節目の4拍目を、▲のクロマチックアプローチにして、ラインワークを強めてみました。ついでに半音進行が多かった3・4小節目を、上記のようにしてみました。このように、コードトーンに半音か全音で繋げていくと、手堅いウォーキングベースが望めます。
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1小節毎の1拍目にルートのウォーキングライン -
2小節毎の1拍目にルートのウォーキングライン -
4小節毎の1拍目にルートのウォーキングライン
同じコードが続く時
同じコードが続く時も❶のように、常に1拍目にルートを置いても良いですが、❷のように2小節毎の1拍目、❹のように4小節毎の1拍目にルートを置き、1拍目にルート以外を置いた、窮屈にならないウォーキングベース、を作っていくのも良いでしょう。
コードトーンの特色
短3度・長3度 | どちらも安定と軽快さがあり、最も使い勝手の良い音。 |
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完全4度 | 色は薄いが、透明感のある音。 |
減5度・完全5度・増5度 | 完全5度の色は薄いが、減5度や増5度になると濃い音。 |
長6度 (減7度) | 3度ほどではないが、個性を持つ音。 |
短7度・長7度 | どちらも強くも弱くもない、中間的な音。 |
ルート以外の特色
ルートが最も安定しているというように、他のコードトーンもそれぞれ、特色が感じられます。1拍目にルート以外なら、3度が最も使われるのは間違いないですが、それ以外は私の主観も含むので、実際に弾いて確かめてみる事も、忘れないでください。

音が外れても良い
2小節目の1拍目はコードトーンでもなく、弱拍にコードトーンが来ています。ウォーキングベースの基本形、からは外れていますが、気にする事はありません。数小節程度なら音が外れても、そう変になる事もなく、自分の音感を頼りに、ウォーキングラインを作る、という事もあります。
ウォーキングベースの練習

安心するウォーキングライン
先ずは1拍目にルートを弾くという、最も安定するウォーキングラインです。2・4拍目の弱拍も、コードトーンに半音か全音で、繋がるアプローチノートで、これも基本的と言えるでしょう。ウォーキングベースの弾き始めは、こういったラインにしてやると、ソロを弾く人は安心するかもしれません。
アドリブで焦る時
特にアドリブになると、上記のようなラインも、直ぐには作れないものです。私がジャズ初心者の頃にやっていたのが、4拍目は次のコードのルートの、半音上か下を弾き、2・3拍目は何も考えず、適当に弾くというものです。これでも意外と、何とかなってしまいます。

3度は違和感がない
先程と同じコード進行ですが、偶数小節の1拍目を、3度にしてみました。私は慣れてしまっていますが、恐らく多くの人が、3度はルートと同じくらい違和感がない、と思えるでしょう。3度を5度や7度に変えた、ウォーキングラインを自分で考え、違いを感じてみてください。

コードの変わる感じ
2・4小節目は、同じルートのコードが2つあります。こういった場合の私の癖ですが、大抵は1・3拍目に、違うコードトーンを置きます。そうしてやると、コードが変わった雰囲気を、出し易いかもしれません。8小節目はシンプルに、コードトーンのみで弾いています。

- 強拍にコードトーンを置くと、ウォーキングラインが安定する。
- 弱拍にはアプローチノートで、ウォーキングベースっぽくなる。
- ウォーキングベースは1拍目にルート以外も普通。