4分の4拍子でいう強拍(きょうはく)とは、1拍目と3拍目の事を言います。そして、その強拍にコードトーンを置くというのが、現在で最も基本的な、ウォーキングベースの作り方と言えます。この時の弱拍(じゃくはく)の2拍目と4拍目、1拍目にルート以外の音を弾く、という事も考えてみましょう。

コードトーンの略記号

ウォーキングベースの音使い

コードトーンだけのウォーキングライン
コードトーンだけのウォーキングライン4小節

弱拍の音の使い方

過去にも説明したように、コードトーンだけのウォーキングラインも、使えない事はありませんが、ジャズっぽさは出ません。なので、ここから強拍の13拍目を残し、弱拍の24拍目を変えてみましょう。何の音を使っても良いのですが、次のようにすると、落ち着いたウォーキングベースになります。

アプローチノートとは?

次に全音で繋がるをホールトーンノート、次に半音で繋がるをクロマチックノートと言います。これらはアプローチノートと言われ、ウォーキングベースの繋がりを、スムースにしてくれます。

アプローチノートを置いたウォーキングライン
アプローチノートを置いたウォーキングライン4小節

ウォーキングベースの基本形

2拍目と4拍目にコードトーンを置きましたが、次のコードトーンにで繋がっている、というのが分かります。これが最も多いとされる、ウォーキングベースの組み立て方です。このように作っていけば、安定感も得られ、ウォーキングベースっぽさも出せます。

2拍目に1拍目の半音上を弾くウォーキングライン
2拍目に1拍目の半音上を弾くウォーキングライン4小節

アプローチノートに縛られない

ただ、アプローチノートに縛られ過ぎず、24拍目はもっと自由で構いません。私がよくやるのは、4拍目はクロマチックノートにしますが、2拍目は1拍目の半音上を弾く、というものです。半音進行が多くなり、ヤバい感じもしますが、ずっとでなければ、こういうウォーキングラインも面白いでしょう。

ウォーキングラインも癖や個性

前述したウォーキングラインの作り方が、最も使われているのは間違いありませんが、それでも7割に満たない位でしょう。ウォーキングラインも人それぞれ、癖や個性が出てくると思います。

1拍目にルート以外

1拍目がルートのウォーキングライン
1拍目がルートのウォーキングライン4小節

ウォーキングラインの広がり

ジャズは同じコード進行を、何度も繰り返すので、いつも1拍目にルートを置くと、ウォーキングラインも広がらず、似通ってしまいます。なので、1拍目にルート以外のコードトーンを置く、という事が頻繁にあります。上記の1拍目がルートのウォーキングラインを、アレンジしていきましょう。

1拍目にルート以外のウォーキングライン
1拍目にルート以外のウォーキングライン4小節

ウォーキングラインの組合せ

ここでは1拍目に、2小節目は3度、3小節目は5度、4小節目は7度、を置いてみました。他にも組合せは複数あるので、何種類ものウォーキングラインが、作れるわけです。このままでも良いのですが、12小節目のを、アプローチノートにしてみます。

1拍目にルート以外のウォーキングライン(アプローチノート)
---4小節

コードトーンに繋げる

12小節目の4拍目を、のクロマチックアプローチにして、ラインワークを強めてみました。ついでに半音進行が多かった34小節目を、上記のようにしてみました。このように、コードトーンに半音か全音で繋げていくと、手堅いウォーキングベースが望めます。

  • 1小節毎の1拍目にルートのウォーキングライン
    1小節毎の1拍目にルートのウォーキングライン4小節
  • 2小節毎の1拍目にルートのウォーキングライン
    2小節毎の1拍目にルートのウォーキングライン4小節
  • 4小節毎の1拍目にルートのウォーキングライン
    4小節毎の1拍目にルートのウォーキングライン4小節

同じコードが続く時

同じコードが続く時も❶のように、常に1拍目にルートを置いても良いですが、❷のように2小節毎の1拍目、❹のように4小節毎の1拍目にルートを置き、1拍目にルート以外を置いた、窮屈にならないウォーキングベース、を作っていくのも良いでしょう。

コードトーンの特色

短3度・長3度 どちらも安定と軽快さがあり、最も使い勝手の良い音。
完全4度 色は薄いが、透明感のある音。
減5度・完全5度・増5度 完全5度の色は薄いが、減5度や増5度になると濃い音。
長6度 (減7度) 3度ほどではないが、個性を持つ音。
短7度・長7度 どちらも強くも弱くもない、中間的な音。

ルート以外の特色

ルートが最も安定しているというように、他のコードトーンもそれぞれ、特色が感じられます。1拍目にルート以外なら、3度が最も使われるのは間違いないですが、それ以外は私の主観も含むので、実際に弾いて確かめてみる事も、忘れないでください。

弱拍にコードトーンがあるウォーキングライン
弱拍にコードトーンがあるウォーキングライン2小節

音が外れても良い

2小節目の1拍目はコードトーンでもなく、弱拍にコードトーンが来ています。ウォーキングベースの基本形、からは外れていますが、気にする事はありません。数小節程度なら音が外れても、そう変になる事もなく、自分の音感を頼りに、ウォーキングラインを作る、という事もあります。

ウォーキングベースの練習

1拍目にルートのウォーキングライン
1拍目にルートのウォーキングライン8小節

安心するウォーキングライン

先ずは1拍目にルートを弾くという、最も安定するウォーキングラインです。24拍目の弱拍も、コードトーンに半音か全音で、繋がるアプローチノートで、これも基本的と言えるでしょう。ウォーキングベースの弾き始めは、こういったラインにしてやると、ソロを弾く人は安心するかもしれません。

アドリブで焦る時

特にアドリブになると、上記のようなラインも、直ぐには作れないものです。私がジャズ初心者の頃にやっていたのが、4拍目は次のコードのルートの、半音上か下を弾き、23拍目は何も考えず、適当に弾くというものです。これでも意外と、何とかなってしまいます。

1拍目に3度があるウォーキングライン
1拍目に3度があるウォーキングライン8小節

3度は違和感がない

先程と同じコード進行ですが、偶数小節の1拍目を、3度にしてみました。私は慣れてしまっていますが、恐らく多くの人が、3度はルートと同じくらい違和感がない、と思えるでしょう。3度を5度や7度に変えた、ウォーキングラインを自分で考え、違いを感じてみてください。

同小節にコードが2つあるウォーキングライン
同小節にコードが2つあるウォーキングライン8小節

コードの変わる感じ

24小節目は、同じルートのコードが2つあります。こういった場合の私の癖ですが、大抵は13拍目に、違うコードトーンを置きます。そうしてやると、コードが変わった雰囲気を、出し易いかもしれません。8小節目はシンプルに、コードトーンのみで弾いています。

記事終了
このページのまとめ
  • 強拍にコードトーンを置くと、ウォーキングラインが安定する。
  • 弱拍にはアプローチノートで、ウォーキングベースっぽくなる。
  • ウォーキングベースは1拍目にルート以外も普通。