全てのジャズがそうではありませんが、ジャズではスウィングというリズムを基本に演奏されます。同類のリズムにシャッフルというものがありますが、シャッフルはスウィングと似ているようで、全く違うリズムだとも言えます。シャッフルとスウィングの前に、基本的な事から見ていきましょう。

表拍と裏拍とアクセント

表拍(おもてはく)と裏拍(うらはく)
表拍(おもてはく)と裏拍(うらはく)の2小節

8分音符のオモテとウラ

上記2小節にオモテウラと記されてるよう、8分音符が2つ続くと、前が表拍で後が裏拍となります。足でリズムを取りながら弾くとすると、オモテで足が地面に着きウラで足が離れている、という状態になるのが自然かと思います。

ダウンビートとアップビート

英語では表拍をダウンビートで、裏拍をアップビートと言ったりします。また、8分音符に限らず4分音符などが連続した場合でも、ダウンビートやアップビートと表現します。

表拍にアクセント
表拍にアクセントの2小節

アクセントは表拍が通常

音源からも分かるように、先程と同じ8分音符のリズムです。このような普通の8分音符のリズムをイーブンと言います。また、アクセントという音楽記号で、その音を強めに弾くという意味です。大抵のリズムはオモテにアクセントを持ってくる、というのが自然になります。

アクセントの強さ

指示通りにアクセントで強く弾く音符もありますが、上記のような2小節の場合なら、オモテに意識を持ってくる、という程度の強さで良いでしょう。

シャッフル(shuffle)

4分音符と1拍3連符(いっぱくさんれんぷ)
4分音符と1拍3連符(いっぱくさんれんぷ)の2小節

1拍3連符というリズム

1小節目は4分音符ですが、その4分音符1つずつを三等分にしたのが、2小節目に見られる1拍3連符というリズムです。強引に文字で説明すると、4分音符1つのターが鳴るのと、1拍3連符のタタタが鳴るのは同等の長さという事です。詳細は別カテゴリの、1拍3連符は4分音符を三等分したリズムを見てください。

1拍3連符とタイ記号
1拍3連符とタイ記号の2小節

1拍3連符を2対1にする

1拍3連符の1つ目と2つ目を、タイ記号で結んだものが上記の2小節です。そうしてやると、オモテウラの割合が2対1になります。音源を聴いてみても、跳ねるようなリズムになっているのが分かります。これでリズムだけはシャッフルなのですが、譜面をもっとスマートにしてみます。

タイ記号とは?

タイ記号で結ばれた後の音符は、その分だけ音を伸ばして弾く事になります。タイ記号についての詳しくは別カテゴリの、タイ記号は同じ高さの音を結ぶ音楽記号を参照してください。

shuffle記号
shuffle記号の2小節

シャッフル記号で跳ねるリズム

冒頭に「shuffle」とありますが、このシャッフル記号があると8分音符のリズムが、先程の1拍3連符とタイ記号で作った2対1のリズムになります。また、アクセントがオモテに来ているのも、後から比較するので覚えておきましょう。

シャッフルは2対1に限らず

ここではシャッフルを1拍3連符とタイ記号を使い、2対1の割合で説明しましたが、それはあくまで基本です。跳ね方は微妙に変化する事もあります。

スウィング(swing)

アクセントが裏拍
アクセントが裏拍の2小節

アクセントがウラ

この2小節も1拍3連符とタイ記号を使い、2対1のリズムをしています。しかし、アクセントがウラに来ているのが分かります。弾いてみると分かりますが、オモテにアクセントを置くより、ウラにアクセントを置く方が難しいはずです。この2小節を見易く直してやると、次のようになります。

swing記号(1拍3連符)
swing記号の2小節

スウィングの特徴

冒頭に「swing」とあり、これがスウィングの音楽記号です。このように、ジャズのスウィングではアクセントを裏拍にするのが基本となります。シャッフルが表拍にアクセント、スウィングが裏拍にアクセント、という明確な決まりはありませんが、このサイトではそう説明する事にします。

swing記号は省略される

ジャズではスウィングするのが当たり前なので、譜面冒頭のswing記号は省略される事が多いでしょう。

swing記号(16分音符)
swing記号(16分音符)の2小節

スウィングの跳ね方

先程の2小節と見た目は全く同じですが、音源を聴いてみてください。跳ねるリズムというのは変わりませんが、今度は微妙に跳ね方が違っています。先程は1拍3連符を基にしたスウィングでしたが、これは16分音符を基にしたスウイングなのです。分かり易く音符を書き直してみます。

  • 付点8分音符+16分音符
    付点8分音符+16分音符の小節
  • 16分音符とタイ記号
    16分音符とタイ記号の小節

3対1のスウィング

先程のスウィングを譜面にすると、①のように付点8分音符+16分音符という形になります。付点8分音符1つは16分音符3つ分なので、16分音符をタイ記号で結んでやった、②のような形にもなります。この事から16分音符のスウィングは3対1の割合になっている、というのが視覚的にも分かります。

ミディアムスウィングと強いスウィング
ミディアムスウィングと強いスウィングの比較2小節

スウィングの強さは変わる

1拍3連符から作る2対1をミディアムスウィング、16分音符から作る3対1を強いスウィングや重いスウィングと言います。両者を比較してみると、オモテのタイミングは同じですが、ウラは強いスウィングの方が遠いのが見ても分かります。こういったスイングの強さは演奏者や、曲のテンポでも左右されます。

スウィングは体で感じるリズム

ここでは分かり易いように、スウィングを2対1や3対1という数値で説明しました。しかし、スウィングというのは頭で考えるリズムではなく、体で感じ取るというようなリズムです。有名なジャズ演奏家でさえ未だにスウィングが分からない、と言われるくらいなので、スウィングは非常に奥が深いリズムです。

記事終了
このページのまとめ
  • 8分音符が2つあれば、前が表拍で後が裏拍。
  • シャッフルは跳ねるリズムでアクセントは表拍。
  • スウィングも跳ねるリズムだがアクセントは裏拍。