エレキベースの弾き方には、スラップ奏法という少し特殊な弾き方もありますが、メインになる弾き方といえば、これまでに説明してきた指弾きと、ピック弾きになるでしょう。この両方について、具体的なことを考えていきましょう。

指弾きとピック弾きの特徴や難易度

メールやレッスンでも「指弾きかピック弾きか、どっちがいいですか?」という質問を、ベース初心者の方々からされることがあります。それはもう好きな方でとしか言えませんが、それでも迷ってしまうものです。事実、僕もエレキベースを始めた頃は、指弾きかピック弾きかで、随分と迷っていた記憶があります。僕は両方練習していましたが、それは自分が目指す音楽にも左右されるでしょう。

指弾きの特徴

指弾きが好まれるジャンルとしては、ポップス・ファンク・R&B・ジャズ、などが挙げられるでしょう。指で直接弦に触れて弾くので、音の強弱や表現がつけやすく、全体的にコントロールしやすいでしょう。左右両手のフィンガリングの動きが多いベースラインにも、指弾きの方が対応しやすいような気がします。指弾きでは暖かく丸みのある音色が期待できますが、アンプやベースのセッティング次第では、音が丸くなり過ぎて聴き取り難い、というデメリットもありがちです。

ピック弾きの特徴

ピック弾きが好まれるジャンルは、ロック・パンク・メタルなどの、激しい系のジャンルが挙げられます。そういったジャンルでは、一定の音を速いテンポで繰り返し弾き続けることが多く、それがピック弾きには向いているでしょう。また、音量を均等に揃え易いのも、ピック弾きに分があるかと思います。硬いピックで弦を弾くので、やはり音色も硬くなり、アタック感のあるハッキリした音が出せます。しかし、指弾きのようにソフトな音を出すのは厳しいです。

指弾きとピック弾きの難易度

僕の周りではピック弾きより指弾きの方が、若干ですが難しく感じている人が多いです。バンドにベーシストがいなくなったから、などの理由でギターからベースに転向する人も多く、その場合はギターの続きで、ピック弾きを続けるのが自然でしょう。そういった人たちになら、指弾きは難しく感じられるかもしれません。しかし、僕が楽器経験皆無の生徒さんたちに、エレキベースを教えるに関して言えば、指弾きもピック弾きも同程度の難易度に、感じておられるように思えます。

指弾きかピック弾きかは自由

最初にも書きましたが、指弾きかピック弾きかで迷っている人は、好きな方を選んで練習していきましょう。憧れのベーシストがピック弾きならピックを選び、後々スラップをしたいと考えているなら、同じ指を使う指弾きを選んだ方がいいでしょう。他人の目や意見を気にすることはありませんが、色んな音楽ジャンルに興味があり、それらを将来的に演奏したいと考えているなら、指弾きもピック弾きも両方練習しておいた方が、選択肢は確実に広がるはずです。

ピック弾きベーシストは下手?

ピック弾きは指弾きに比べるとレベル的に下、というようなことを見聞きします。確かに僕らのような、エレキベースを教えるインストラクターは、ピック弾きを勧めることはありません。指弾きの方がベースを弾くのに適しているからです。しかし、ピック弾きベーシストが下手というのは大きな誤解です。

コーディー・ライト

ピック弾きでも出せるグルーヴ

グルーヴというのは良い感じのリズムのことを言いますが、コーディー・ライトのピック弾きでも、それが多いに感じられるでしょう。何よりベースピック独特の音がカッコ良く、どのようなアンプやエフェクターを使っても、指弾きでは出せない音が魅力的です。

スティーブ・スワロー

ピック弾きでジャズ演奏

スティーブ・スワローはピック弾きで、なんとジャズを演奏する珍しいベーシストです。とてもピック弾きで出している音とは思えず、丸みのある暖かい音です。高いテクニック等は見られませんが、落ち着いた聴かせるベースだと思います。

ピック弾きも素敵

僕の好きなピック弾きベーシストを2人だけ紹介しましたが、他にも素晴らしいピック弾きベーシストはたくさんいます。

指弾きとピック弾きの共通点

弦をピッキングする位置により、音や弾く感触などが違ってき、慣れてくれば使い分けることもあります。これは指弾きとピック弾きに共通していることです。ジャズベースを例に挙げ、ピックアップを境界線にして考えていきましょう。また、演奏している時の目線にも、気を配れるようになりましょう。

フロントピックアップ
フロントピックアップの画像

フロントピックアップは丸い音

ネック側にあるフロントピックアップと呼びます。音色の調節ですが、これもネック側にあるコントロールノブで行います。フロントピックアップは、暖かく丸みのある音を特徴としています。

ピックアップはマイク

ピックアップはカラオケでいう所のマイクで、弦の振動を電気信号でアンプへと送り出し音が出ます。

リアピックアップ
リアピックアップの画像

リアピックアップは硬い音

ブリッジ側にあるリアピックアップと言います。これは矢印が示す真ん中のコントロールノブで、音色を調節してやります。リアピックアップは硬く尖った音を特徴としています。

トーンコントロールノブ
トーンコントロールノブの画像

トーンコントロールノブは両方

最右に位置するトーンコントロールノブと言います。トーンコントロールノブはフロントピックアップと、リアピックアップの両方の音色を調節できます。

音色三分割
音色三分割の画像

弦を弾く位置の音色

弦を弾く位置の音色について、ピックアップを境に考えてみましょう。音に拘るのはもちろん、弾き易さのことも考え、ピッキングの位置を研究してください。

  • フロントピックアップより左

    フロントピックアップからネックの根元は柔らかい音で、ピッキングの感触もソフトです。

  • ピックアップの間

    フロントピックアップからリアピックアップの間を、先ずはピッキングの標準的な位置と考えましょう。ピックアップが最も弦の振動を拾える場所なので、そのエレキベースの純粋な音がします。

  • リアピックアップより右

    リアピックアップからブリッジ辺りは硬い音で、ピッキングの感触もハードです。

  • 指板を覗き込む目線
    指板を覗き込む目線の画像
  • 指板を覗き込まない目線
    指板を覗き込まない目線

指板を覗き込むと見易い

指弾きの時もピック弾きの時も、初心者の方は背筋や首を曲げ、指板を覗き込んでいる①の目線になる場合がほとんどです。その方がフレットや弦を見易いですし、最初は指板を覗き込む目線になってしまうのは、仕方のない事だと思います。

なるべく指板を覗き込まない

しかし、慣れるにつれて背筋や首を伸ばした、指板を覗き込まない②の目線にしていく事を目標としましょう。これだとフレットもあまり見えず、ほぼ4弦だけが見える状態で不安ですが、慣れれば指の感覚だけで、運指押弦が出来るようにもなってきます。

ライブでの目線

指板を覗き込まない目線も、顔は指板の方を向いていることになります。特にライブで指板ばかり見ているベーシストは、お客さんから格好が良い印象は持たれないでしょう。なので、最終的には目線を指板から外し、指の感覚だけで弾けるようになりましょう。ただ、指板を全く見ないということではなく、ポジション移動などが必要な時は、プロベーシストでも指板を見るので、勘違いしないようにしてください。

記事終了
このページのまとめ
  • 指弾きかピック弾きかは音楽スタイルによる。
  • ピック弾きベーシストも上手い人は上手い。
  • 弦を弾く位置により音や弾き心地は違う。